出席者 ※敬称略
【Z-supportアドバイザー】(50音順)
梅村武志(司法書士)、大庭清子(司法書士)、金 奉植(弁護士)、小礒ゆかり(税理士)
鈴木晶博(土地家屋調査士)、中島宏樹(弁護士)、中野祐樹(司法書士)、西田正志(司法書士)
原 恵一(一級建築士)、福井紀之(税理士)、松藤隆則(弁護士)、松本康正(弁護士)
【近畿流通センター】
堀田健二運営委員長
梅原寛克副運営委員長
坂本俊一副運営委員長
角前秀史システムソリューション事業部長
龍 優システムソリューション事業部副部長
米原大輔システムソリューション事業部副部長
田中勇人システムソリューション事業部
荒木慎太郎システムソリューション事業部
藤田勝志システムソリューション事業部
月城 浩システムソリューション事業部
松本有司システムソリューション事業部
丹臺耕平システムソリューション事業部
特別出席者【全日本不動産協会総本部】
風祭富夫 (流通推進委員長)
※当コンテンツ(座談会)での参加者の発言、および本メールマガジンの記述に関しまして、
提供する情報を慎重に作成し、正確な情報を掲載するよう努めておりますが、必ずしも正確性を保証するものではありません。
また、掲載内容は当協会の見解ではなく、その合法性や安全性などにつきましても保証しておりません。
なお、当コンテンツに掲載された情報によって生じた損害等について一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
- 「2022年問題・生産緑地」指定解除、農地・高齢化に伴っての相続
- それぞれの専門分野において、来たる2022年に向けてのこれらの問題への対処法
- 課題法律が果たす部分と不動産業者が持つべき部分の役割分担
- 業務上のお互いの繋がりの部分等について
- 士業間だけ、専門分野だけでは十分な解決が出来ないような案件
- 士業と不動産業者との連携で何か突破口が開けないか
- 先生方から色々なご意見やヒントを!
- 生産緑地指定を受けることによって
- 固定資産税・都市計画税の軽減、相続税の評価減・相続税の納税猶予制度あり
||
2022年から生産緑地の指定を受けて30年を迎えた物件 - 指定解除を迎え、市場に増えるのではないか
- ハウスメーカーさんが、これに伴ってセミナーを開催
- 税理士事務所さんでもこれに伴って相続対策を…などの講習を開催
- 今、持ってる不動産を将来に向けてどうしていったらいいのか…
- 一般消費者が本当に真剣になって模索
- 次を引き継ぐ世代がいない多くの農地
||
国土交通省が、これを農地付き住宅、あるいは農地を事業者に継承する案を提示
- 生産緑地、あるいは農地の相談(生産緑地対策セミナー)について [福井]
- 去年だけで大体10回くらい、通算で25回程「生産緑地対策セミナー」を実施、日経新聞などから取材あり
- そのセミナーに来るお客様の多数は、現在の土地所有者さんではなく、そのお子さんたち
- 特にお子さんたちの中でも、配偶者というのか、長男のお嫁さんなどが心配して来られるケースが非常に多い
- 当然長男のお嫁さんが来たときには、「父(義父)には言わないで下さい。」というような「限定」で相談を受けることが非常に多い
- 「父に言わないで下さい」という言葉の意味
- お父様(所有者様)自身は、生産緑地を持っている、農地を持っている、畑を耕している…ということにプライドを持っている
- それを息子さんの代になって「やめる」とはなかなか言えない
- 息子さんやお嫁さんの世代
- 「農家はやる気はないというのが本音」というのが、非常に多くあるパターン
- 但し、生産緑地というのは「三大都市圏(特定市)にしかないもの」というのが大原則
- 三大都市圏というのは、東京・大阪・名古屋
- それ以外の方には関係ないのか?
- そうでもない
- 三大都市圏以外にも、当然「農地」というものは存在する
- 「農地で畑をやっている方」は、同じような悩みを持っている
- 「なぜ、そこで畑をやらないのか」
- これは非常に単純
- 現状でもかなり古い2011年の統計だと思うが…
- 専業農家さんを除くと、大体収入の25%くらいしか農業所得がない
- 残りの75%くらいはほぼ不動産所得
- その他10%くらいあるが、農地を持ってる地主さんのような方のほとんどが、出来れば不動産所得を得たいと考えている
- 特に、三大都市圏に農地を持っておられる生産緑地のオーナーさん
- 市街地に近い便利なところに大きな土地を持っている
- そこでアパートなりマンションを建てて、不動産所得を得たいと考えている我々のような次の世代、つまり、畑をやっていない世代
- そういう世代が非常に多く相談にいらっしゃる…というのが現状
- その方々のご意見を聞くと「父の代では、解除して売ることはできません。」と正直に吐露
- その理由は、納税猶予をしているため
- 「今、売ってしまうと相続税プラス利子税を払わなきゃいけないので、払えなくなってしまいます。」
- 「他にはなかなか言い出せません。」というような相談が多々あり
- 某ハウジングメーカーが主催する「生産緑地対策セミナー」というようなセミナーで、主に何をやっているか
- 「亡くなった人の土地をどうするか」というのを考えてリスト化
- セミナーのダイレクトメールは…
- 都市計画課に行って、生産緑地のオーナーさんを全部調査
- そこにダイレクトメールを送付
- セミナー自体は…
- 何十人何百人と集めるのではなく、ピンポイントで大体10組程度
- 普通のセミナーとは違って、10組程度を上限としてセミナーを実施
- 全体セミナーの後に、「具体的な相談があったら何でも相談して下さい。」というような小規模のセミナーを開催
- 去年だけでも10回くらい…というような回数になってしまう
- 「生産緑地」については…
- ちょっと前までは「ほとんどが宅地化されるだろう」ということだった
- 「特定生産緑地」という制度が出来て、
- 「10年延長出来ますよ。」というようなことになっている
- インパクトは以前よりは薄れてきているのではないか

- 「生産緑地」で相談に来られる時の問題点とメリット [福井]
- やはり税理士だけではどうしようもない
- 相談に来られるお客様たちの関心ごとは、やはり「生産緑地を解除したら税金はどうなるの」というところ
- なかなか測量も出来ていないし、丘陵地が多いし…という相談もあり
- 亡くなった後、もし市街化区域の生産緑地であったとするなら
- 税金がどうなるか、遺産分割がどうなるか、登記はどうしたらいいのか
- 売るためには農転して、当然宅地化して売却したい
- 納税もしなきゃいけない
- それじゃ、それを誰がやるのか?
- 遺言書を書くにしても、誰がそれを切り出すのか…
- 実際に、今の農地のままで広い土地を保有している方の場合
- そこには不動産業者さんが入らないと、どこの生産緑地の土地が売れるのか全く分からない状態で、皆さん相談に…
- 某ハウジングメーカーが主催する「生産緑地対策セミナー」では…
- 私(税理士)と、土地家屋調査士さん、不動産鑑定士さん、それと弁護士さんとハウジングメーカーさんで対応
- その相談をきっかけにして、弁護士さんが「遺言書を書くならこうしましょう。」とか…
- それぞれの専門分野に“一度に相談ができる”というのでメリットがある
- やはり、生産緑地のセミナーで肌で感じるのは、「税理士だけではどうしようもない…」ということ
- 生産緑地、農地の問題は、特例などが非常に多い
- 色々な相談を受けるので、(税理士)一人ではどうしようもない
- そういう時でも、一人でやらざるを得ない
- 隣に不動産業者さんが居て「この辺で売ったら幾らですよ。」などの助言
- 弁護士さんが「法律的にはこうですよ。」などの助言
- 鑑定士さんなら鑑定士さんの…各専門家の助言
- それぞれ専門家の皆さんの意見を聞けるというのが、非常に役に立つというのではないか…と、いつも思う
- 士業間連携(サブテーマ)について [福井]
- これを契機として、士業というのは一人では何もできないという事を認識
- それぞれの専門分野は、専門分野が得意な人に相談・助言をもらうことが大切
- 我々不動産という立場において、2022年(平成34年)は、本当にビジネスチャンスなのか… [角前]
- 「10年の経過措置、猶予ができるようになったので…」という特定生産緑地という制度関連

- 大阪の方では、この2022年でこの生産緑地の郊外のニュータウン周辺の生産緑地が解除されると… [角前]
- そのニュータウンの土地がもう暴落してしまうのではないか…
- 相当心配をされている土地所有者様も多数見受けられる
- そういった時に「住み替え」というところで、我々不動産の業者として色々な提案等をやっていけるのか
- 実際に土地の測量を実施している中で… [鈴木]
- 某相談センターで相談員をやっている
- そこで職業(土地家屋調査士)柄、実際に土地の測量を実施
- 生産緑地そのものというより、伊丹など生産緑地の多い地域
- その周辺の昭和40年、50年代に開発された住宅地など
- 生産緑地が解除されたら土地が暴落するのではないか…
- 逆に周辺の住宅地の方が、敏感になっておられる
- 生産緑地そのものは…
- 実際にきちんとした土地であれば、既に生産緑地云々という前に色々な形で処理されている
- セミナーなどでも、生産緑地のことに関心のある方が多い
- 不成形地・接道の問題
- 簡単には建物が建てられないなどの問題あり
- 「仕方がないから置いておく」という形の方も多い
- 行政がやはり保全の方向に考えているという傾向あり
- どれくらいが宅地化されるかというのは未知数
- 「意外とそうでもない」と予想される方も多い
- 数千平米規模の生産緑地について、大手のコンサルがミニ開発
- その中で接道を取ったり、色々な形で駐車場、或いは宅地にする部分など
- 色々な有効利用やギリギリの活用方法、一番最大限の活用方法などを提案して営業を展開
- そうした場合、区画開発整理に伴うお金はどうするのとか
- 土地の等価交換という方法(無償)でされる
- そういう斬新な手法を取っておられるコンサルもあり

- 土地の等価交換で、地主の工事費の捻出をするといった方向でのご提案 [鈴木]
- これはある程度技術的なこと必要
- 境界の確定が大前提
- 生産緑地は当然、住宅地の規模ではない
- 境界確定を事前に行い、2022年になると一挙に活動できるという形
- 水面下ではかなりその動きは浸透
- 実際、生産緑地の土地の境界の確定というのは、結構相談あり
- 土地を「どういったところに売ったらいいのか」 [小礒]
- 生産緑地の相談は受けたことがないが…
- お客様に、結構広い農地をお持ちの方
- そこは農地というか、田んぼ
- 80歳代のお父様がずっと農業をされておられた
- その息子さんが借金
- その土地を売りたいというお話でご相談を受けた
- 税金の売却益とか、売却の計算はわかるのだが…その土地を「どういったところに売ったらいいのか」
- 不動産業者の方にお任せ
- 結局は無事に土地が売れ、借金も返済

- 生産緑地の相続税で、納税猶予を受けている方について [小礒]
- 生産緑地の相続税で納税猶予を受けてる方は、解除になった地点で、莫大な税金がかかってくる
- まず延長するしかない?
- 相続税の猶予を受けてない方の場合
- 有効活用であったり、色々な提案が考えられる
- 現在、2019年ですが、2020年に東京でオリンピックがあって、大阪の方は万博も決定
- 逆に不動産業者の方にお聞きしたいのは、これからのイベントごとを踏まえて…
- 関西の土地の状況が、どちらの方向に向いていくのか
- 上がる方向に向かうのか
- 生産緑地が世の中に放出されて下がる方向に向かうのか
- なかなか予測は難しいと思うが、これからその辺の流れがどういう風になっていくのか知りたい
- 関西の土地の状況について [角前]
- 今年はサミットがあって、ラグビーのワールドカップがあって、来年はオリンピック
- 再来年にはマスターズがあって…と、本当にもう良いこと尽くめ
- 地価なども落ち着いているのではないかというイメージ
- 農地などの転用など、色々な宅地造成や開発というところで…
- 今、和歌山県での市場変化の状況は… [坂本]
- 和歌山市内はもう地方の関係で作られていて、なかなか調整区域の開発が出来ないような状態になっているのが現実
- ただ、市街地化区域の中で、開発関係を色々していく和歌山の業者が存在する
- 他方でどんどん和歌山に入ってくる大阪などの業者もあり
- 和歌山もかなり競争が激しくなっているような状況
- ただ、果たしてそれだけの住宅を買う方が存在するのか?
- そんなに多くはない
- 供給過多的な形になっているのが現状
- 業者間でお客様の取り合い
- やはり値下げ合戦が相まってくる
- 現実よりも値段が下がってくる部分がある
- 和歌山県全体で言えば、人口も昨年は一万人ほど減少している状況
- 過去最高記録を更新
- 人口減少が問題に
- 現実、あと5・6年すれば、和歌山市内の人口も30万人を切るという状態
- 大阪、京都、神戸…この辺りの関西の都市圏から言えば、これから満足いく関係あり
- 当然、京都などはそうだと思うのだが、和歌山県などは特に値は下がっている
- そういう部分では、二極化していっているのか…という印象

- 今、奈良県の状況は… [梅原]
- 奈良は、奈良市…市街地が、生産緑地でほぼ売りたいという要望の方が非常に多い
- 寄せられる相談は2年先というよりも、生産緑地解除に向けたご年配の方々が多い
- あるいは2年後もまたそのまま猶予
- 次の世代の方は、今すぐにでも売却したいという感じ

- 今、兵庫県の状況は… [米原]
- 私自身は、生産緑地であるエリアであまり取引をしていないので、あまりよくわからない
- 今、神戸や芦屋、西宮の一部では、非常に値段が上がっている
- でも、もういっぱいいっぱいなのかな…という印象あり
- 土地や新築の一戸建てなど
- 良い条件のところは売れる
- 少し外れるともう売れていない、売れ残っているような物件が多い
- お客様の目が厳しくなっている
- かなり選別がされているという印象
- とある住所でこの右の東側は売れるのに、西側は売れないなどの現象
- 値段が坪20万ほど下がるという状況になっている場合がある
- 私の知る限りでは…
- いわゆる「良いところ」には、生産緑地はない
- 生産緑地というのは、ちょっと外れた所にある
- 生産緑地があるようなエリアで、そのような物件が出てきたところで…
- 売れないものが、また供給過多に
- 値段がドーンと安くなるだけの話
- 良いところ(皆が欲しいと思うところ)には、生産緑地問題というのはあまり関係ないのでは?

- 各地方では… [角前]
- やはり二極化しているという印象
- 「良いものは良い」「悪いものは悪い」ということに尽きるような感じ
- この座談会での知識を元に… [角前]
- 我々流通の人間が、きっちりと選別
- 先生方と連携をして、最終の出口を取れるのか取れないのか
- 10年猶予について [角前]
- 10年猶予を使う地主さんが多い
- 私がこの2〜3年で増えてきていると感じるのは…
- そういった相談をしている間に認知症などになってしまうケース
- 売却する時の意思能力に問題が発生するケース
- 10年猶予を取られることによって、そういったリスクが増えてくる?
- 相続といったところで…
- 生産緑地では、「10年猶予」というところにも問題あり?
- 10年の猶予を受けることによって、その期間に意思能力が欠落されてしまう高齢者のリスクに対するアドバイス [松藤]
- 一般的には、高齢化が進んできている
- 意思能力の無い方の不動産取引も増えてきている
- 成年後見を含めて考えていかなければならない
- 最近は「家族信託」なども人気になってきている
- ある程度そういう先の見通しを含めて考えていかなければならない

- 生産緑地関連で、家族信託や士業間連携を活用されたというような相談について [梅村]
- 相談を受けることは多い
- 相談の主体が、どうしても相続人の方という場合が一番多い
- 結局、ご本人にお会いしてみると
- そんな事は考えてもいなかったり…
- はっきりと意思も言えない状況だったり…
- 農地のことで言うと…
- 生産緑地の地域内で農地として貸している方
- 非課税を選択している方
- 固定資産税を大量に支払っている方
- それを何とかしたいという相談で
- その方が、今後その管理建物を建てたりとか転用してとかいう時
- 所有者ご本人では、判断もできない状態
- その法務手続き
- 息子さんの方で全部していきたいんだ…というような事例あり
||
生産緑地を外されて、通常の農地で固定資産税の軽減を受けられない状態で農地を貸出し中 - 将来的にその土地をどう活用していこうかということを模索されていた…

- すごく良い場所だと、とんでもない税金に… [角前]
- 今、貸している方
- 結局、固定資産税も賄えない地主さんになってしまう
- 土地として高く売れるところ、売れないところという土地の二極化 [角前]
- 売れないところで土地を解除して売りたいと思っても…
- 売れないというような事も生まれてきている
||
固定資産税も賄えない
- 早い時期から各プロ集団が結集 [角前]
- どういうご提案が出来るか
- 本当に考えてあげられるいい機会なのでは…
- 生産緑地の減税とは… [小礒]
- 農地として貸す場合、固定資産税であったり、農地並み課税というのが、適用されるようになったという改正があったのでは?
- 認定都市の貸付企業などに貸す場合など
- 農園に貸す場合などについて
- 納税猶予を受けれるような相続税上の制度あり [福井]
- 生産緑地をして、それを30年間
- 2022年に解除した場合に、その相続税を猶予していた場合と払っていた場合
- あと10年間延長出来るということで…
- 生産緑地になった時に、その前の先代から引き継いだ相続税とその評価額について [月城]
- 100あるものがどれぐらいになって、それを生産緑地として引き継いで猶予した場合
- 大体のイメージとして、どういう風な感じになるのか
- まず、先代から相続が発生した時に、生産緑地の場合
- 納税猶予をするかそのまま相続税を払うか…ということが選べる [福井]

- 納税猶予をした土地について… [福井]
- 登記簿を見る
- 必ず抵当権者が「財務省」または「大蔵省」と記載されているので分かりやすい
- そこに、相続税額と利子税がいくらであるかという記載あり
- そういう土地を持っていらっしゃる方
||
納税猶予をしている方
- 納税猶予をしている方について [福井]
- 生産緑地でいうと
- 「30年間、必ず営業しなさい。」ということが決められている
- もし辞めた場合には
- 「その辞めた時点で、本来支払わなければならなかった相続税と利子税を支払ってください。」ということが決められている
- その金額は、元々の金額を100とするならば、納税猶予をするとその100がほぼ0程度
- ほぼ払っていないその方が、もし亡くなられて引き継いだ時
- まず納税猶予をして、引き継いで免除
- その亡くなられた次の方の相続税が発生
- その10年、生産緑地の制度を受ける
- 30年経過する前に制度の適用を受けた場合
- 自らが手を挙げないと、納税猶予が一切使えなくなる
- 2022年ということではなく、2021年の段階で選択しておかないと、次の世代は納税猶予を受けられない
- 30年して、10年して、40年経っても、その10年後にまた選択することが可能
- 仮に生きていたとしたら、また10年延長可
- 農家をし続けていたら、ずっと相続税は支払わなくてもいいということ? [月城]
- 亡くなって辞めた場合
- 100全部を支払わなければならない
- 亡くなっていなくて、おじいちゃんが居る場合で、30年経って解除した場合で、納税猶予している場合
- それは支払わなければならない
- その場合100は100のまま?それとも100以上? [月城]
- 大体100以上
- 15年で1.5倍の利子税が付加
- 当時の30年前の相場は今はまだ高いので、損をしないということ? [月城]
- 30年前、意外と高い
- 実際そういう人は売れない? [月城]
- 私もそのような相談を受けたことがある
- もう絶対に売れない
- 「相続人の方が皆さん女性で、嫁いでいらっしゃってどうしましょう。」と言われて、銀行の方同伴で相談
- 要するに、相続税を支払わなければならないから、先に融資を受ける準備をされていたケースあり
- 結局は、おじいちゃんが亡くなるまでは、解除しないということ? [月城]
- 解除しないということではなく、解除できない…ということ
- その途中でおじいちゃんが亡くなった場合、残りの5年間で判断しなければいけないということ? [月城]
- いいえ、おじいちゃんが亡くなった時点で判断しなければならなくて、そこからリセットとなる
- 特定生産緑地に指定されている場合の固定資産税、都市計画税 [角前]
- 現行の生産緑地に対する軽減措置と同様の措置が受けられる
- その他、農地の件での意見など [中野]
- 生産緑地というのは、今、開業しているのが泉佐野市の関空の近くになるが、農地は多い
- 結局、昔だからかもしれないが、割と相続などを見ると、農地のところに家が建っていたり、地目なども整理されていないケースが多い
- 農地に変わっているかも…という場合も、ひょっとしたらあるかもしれないし、築も40年、50年経過している?
- 例えば若い世代だと、相続が起こった時、開発や売却といった時
- 兄弟間でも関わり合いたくないから放棄したい…などの揉め事があるケース
- 離れていたりなど、色々な問題があるパターンが増加
- その土地が、生産緑地にかかっているといった問題もあるかも…
- 2022年に一気に相続になった時に、皆さんが苦労する可能性が出てくるのではないか…
- 結局、「価値のないものに、次世代の人は興味がない」というパターンが多い
- そういった場合に、我々士業もそうだが、不動産関係の皆様に協力を要請する話が一気にくる可能性はあるかもしれない

- 農地や生産緑地などの相談、相続の件での意見など [金]
- 生産緑地ではないが、農地売買って…という時
- 先ほど仰られていたような問題で話し合いが止まるというようなケースあり
- コストもかなり掛かってしまって、今から準備してもなかなか処分が難しい…というケースもあり
- 元の農地の状態がどうだったか、亡くなってしまってその辺の状況が話せないというケース
- なかなか和解というのが難しい

- 京都府内の方の物件で相続が発生した案件 [大庭]
- 相続人のお住まいが奈良県内というご相談
- 農地であるとか、未登録の建物などあり
- 遠方のため、もう手に負えない
- 全部誰かに売却するなどできないか…というようなご相談
- 行政書士さんや土地家屋調査士さんと連携
- 農業委員会の許可書や非農地証明書を取って地目を変更したり、色々な調査や手続きをして、約1年かけて対応して処理
- それらを処理して、ようやく相続人から、新しい所有者に引渡しが出来た
- 建築に関するところで、生産緑地の相談など [原]
- 生産緑地でひとつ例
- 日頃からお付き合いのある、大きな敷地でこども園をやっておられるところ
- その隣に同じぐらいの敷地の生産緑地あり
- 理事長さんがずっと前から、こども園を増築したいからその土地を売って欲しいとか、貸して欲しいとか交渉
- 全然ダメ
- 急遽「30年の定期借地権がいけるようになった…と向こうさんから連絡があった」とのご相談
- 生産緑地を宅地化に
- もともと畑だったので、整地をして周囲にフェンスを張るという農地の許可申請
- そういうご依頼がありまして、市役所に許可申請を提出
- 市役所が農業委員会に行って、地主さんが農地化
- 30年の定期借地権をして、今、出来つつあるという例あり

- 生産緑地の2022年問題に関するところで、高齢による土地取引や相続による相続対策など [松本]
- 弁護士としては、生産緑地の問題というところでは、直接係ってくるというのがそれほど無い
- 生産緑地の2022年問題ということで、生産緑地がどう動いていくのか…という行く末について
- 高齢による土地取引や相続による相続対策、そういった枠組みで活躍の機会
- 弁護士として、そういった準備の必要もあるのでは…

- システムソリューション部から、何か意見やご質問など [龍]
- 福井先生にお伺いしたいのですが…
- 30年経過すると地元の公共団体に買取りをお願い出来るという話を聞いた [龍]
- これは、地方の公共団体としては、買わなければいけない…ということなのか?
- 生産緑地で30年が経過すると、まず公共団体や地方団体に買い取りの申し出をする [福井]
- その価格というのは、農地の価格ではなく時価 [福井]
- 生産緑地は、三大都市圏の都市区域、市街化区域 [福井]
- 非常に高く予算がありませんので、公共団体は買わない [福井]
- そうすると、次に「斡旋」と言って、一般の事業者に斡旋をする [福井]
- 普通に農業を続けたい人は都市部でわざわざ農業をする必要は無い [福井]
- 地方に行って農業をした方が、コスト的にも非常にメリットがある [福井]
- 買い取りの申し出があっても一度も買った事は無いというのが現状 [福井]
- 事実上、一度、埼玉かどこかで1件あったような話は聞いた事があった [福井]
- ほぼ買い取り申請は受けない [福井]

- 緑地解除されると「遡って」と仰られていましたが、実質はどれぐらいまで遡るのか… [田中]
- 実際に28年で解除された場合
- 28年遡るのかというと、なかなか現実的ではないという気がする
- 納税猶予されるという場合の「猶予」というのは、相続税の話 [福井]
- 相続税は、猶予すると必ず抵当権が付加 [福井]
- 納めなければいけない金額「本税」というものが必ず確定している [福井]
- なので、時効という事は生じない [福井]
- 固定資産税については、そもそも安くなっているのは、生産緑地は農地として認められているから…ということが大前提 [福井]
- 農地ではなくて、高くなっている前提で言うと(農地ではないから高くなると思うのだが) [福井]
- 「遡り」というのは、ほぼ起こらないのではないか [福井]
- なので「固定資産税を支払っていないから、時効だよ。」という事は、ほぼない [福井]

- 結局、納税猶予を30年にしなくて生産緑地になっているのは、
お金があって、相続税は宅地評価の分を支払って、でも、土地活用などの予定も無いから、
生産緑地で固定資産税を安いまま持っておこうか…という方なのか? [月城] - 固定資産税だけは支払っているが、相続税は支払っていないという方 [福井]
- そういう方たちが、例えば20年か15年経った時に、実際、生産緑地を外せなかったというものなのか?
- 生産緑地を外したかというのは、基本的に農業を続ける大前提というものがある [福井]
- 例えば、病気とか何らかの理由で農業が続けられないということになれば、仕方ない [福井]
- それは解除条件となっているので、そういう事態によって解除になる…という事はあり [福井]
- そういう意味では、個人的には今のお話を聞いて、2022年問題はそんなに無いのではないか?
- 納税猶予をしていらっしゃる方というのは、大体、全体の約半数の方 [福井]
- 半数と言っても、何千ヘクタールという話になるので問題になる [福井]
- その方々が解除するにしても、手元に残るお金というのは、本当に納税猶予をしないで支払ったから残るということ?
- その通り [福井]
- なので10年とりあえず延長して…というのが現実的な話ではないかと思う [福井]
- ただ、今持っている所有者の方が亡くなった場合を想定 [福井]
- 次の世代が農業をするというケースが、なかなか実際には居ないという事が問題になってくる [福井]
- だから、そういう方々がそろそろ高齢になっている [福井]
- 世代が代わりそうな時なので、2022年以降に顕在化してくるということ?
- そうですね。 [福井]
- 大体、納税猶予を受けていらっしゃる方というのが、60歳から65歳以上が半数 [福井]
- その中で、後継者の決まっていない方が約3分の1 [福井]
- もう絶対誰も継ぎませんよと明確に言っている方だけでも3分の1ぐらい [福井]
- それを単純に掛け合わせると、確実に税金を支払うために土地を売らなければいけない可能性が出てくるということになる [福井]
- 生産緑地の指定と相続税猶予について [松本]
- 生産緑地の指定を今日に外したとしても、当時は相続税猶予を受けている
- それがなくなるわけではない
- 納税猶予を受けている限り、相続税を支払わなければいけない
- それは生産緑地の場合の話であって、例えば、市街化調整区域の農地などですと、20年間農業を続けていれば、もうその時点で免除される [福井]
- 生産緑地とは別の規定などがありますので、その農地が何に該当するかという事が結構重要 [福井]

- 不動産会社の方が生産緑地の相談を受けた場合 [丹臺]
- 賃貸のアパートを建てるか、分譲マンションを建てるか、選択肢は大きく2つになる
- 10年延長しましょう…という選択肢は、不動産会社からすれば無いと思う
- 税理士の先生方からすると、「納税を10年延長する」「借入してアパートを建てる」「分譲地で売る」という3つの選択肢を提示
- 一般の方が相談に来られた場合で、納税猶予が付いていなかった場合には、どういったお答えをされるのかお聞きしてみたい
- 納税猶予をしていない前提で言うと、先ほどもあったようにまずは「場所」がどうかという事
- 収益物件を建てれば良いような場所であれば、そういう物件を立てることをお勧めする [福井]
- 最近の若い世代の人たちは、良い収益物件を建てられる場所であっても、マージンが出るようであれば、一気に売ってしまってお金を貰いたいというような方が非常に多い [福井]
- 私の相談者の中では、わざわざ少子高齢化が進んできている中で、「収益物件を建てるなんて事はしたくないよ。」という方が多い [福井]
- とりあえず、「売ってしまおう」という流れの方が多い [福井]

- 不動産業者の立場からの2022年問題 [藤田]
- 私の個人的な印象ですが、要は2022年問題というのは、私たち不動産業者の立場から言うと
- 供給過多になって、全体的には相場が崩れる、暴落するのではないかという、こちらの問題が大きいだろうと思っていたが…
- お話しを聞いていると、どうも所有者の方の問題が一番大きい
- 市場に対する影響というのは、さほど少ないような気がする
- 先ほどのこども園の話
- その地域というのは、既に区画整理も出来ていて「売るよ。」となったらそのまますぐに宅地化できるという状況
- それを考えると、一瞬、供給過多という事も考えられる
- よくよく全体的な事を考えると、それこそ境界線の問題や接道の問題もあり
- 即、それが業界に与える影響は無いという印象を受けた
- ただ、それよりも問題なことは…
- 収益物件を建てられた場合に、賃貸関連の供給過多の方がよっぽど問題になるのではないか?
- そしてそれが、その後の空き家の問題につながっていくのではないか?

- 2022年生産緑地問題が、空き家の問題の方へ(座談会-後半-へ)
- 2022年生産緑地問題について、東京での状況は… [風祭]
- 東京でも生産緑地の問題はある
- 2022年に一番直面しているのは、東京の場合は、すぐに所有者移転になってしまうという状況あり
- ハウスメーカーさんと農協さんとの壁があって、なかなか業者さんが入り込めないというのが東京での今の現状
- 逆に、これが一気に出てきた場合
- 供給過多という状況になると思うけれども、今、現状としてはその辺のところまではまだいっていない

- 土地の境界線について、何か我々がそういった相談を受けた場合の注意点、アドバイスやご意見 [鈴木]
- 土地の境界線の事について言うと、よく不動産業者さんの場合は、契約されてから相談される
- 相談を受けた時点で、ある程度その隣接の方の状況を把握していただければ…と思う
- 境界線の場合は、ほとんどが隣接の方の問題であることが多いから
- 話し合いが延びたり、頓挫したりということが起こったりする要因
- 隣接している方にかかっている事が多い
- 特に隣に空き地がある場合や、空き家である場合
- 実際にどんな方が住んでおられるのか、或いは、本当に不在なのかを必ず先に見極める必要がある
- 決算というものが立てられないということをよく聞く
- 不動産業者さんが出来る事で言えば、そういう近所付き合いなどの聞き込みなどが重要
米原:
本日は公私とも大変お忙しい中、当センターが企画いたしました「ラビットプレス+新春特別企画“Z-supportアドバイザーとシステムソリューション事業部との座談会”」にご出席を賜り厚く御礼を申し上げます。
はじめに、当センターの堀田運営委員長よりご挨拶申し上げます。
堀田:
皆様、改めましてこんにちは。
今日は、この好日を迎えられ本当に感謝しております。
本日は大変お忙しい中、当センターの座談会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
また、平素は「Z-support」の方で大変お世話になり、また本日は遠く東京の方からもご参加いただき、会員を代表いたしまして心より感謝申し上げます。
本日の座談会は、毎月当センターが配信しておりますメールマガジン「ラビットプレス+」の特別企画になりまして、昨年も開催させていただき大変好評を博しました。
今年の座談会は、『士業と不動産業者との連携、あるいは士業間の連携』をテーマに掲げております。
また、お題としましては一つ目に「2022年問題・生産緑地」指定解除、いわゆる相続問題についてもご確認いただき、先生方からご意見やご要望をお聞きしたいと考えております。
本日お集まりの先生方と、それぞれの専門分野において、来たる2022年に向けてのこれらの問題への対処法や課題を、法律が果たす部分と不動産業者が持つべき部分の役割分担、また業務上のお互いの繋がりの部分等について話し合いたいと考えております。
あともう一つのお題が「空き家対策」ということで、これも先ほどの問題に付随してくると思います。
本日は、最後までどうぞよろしくお願いいたします。
米原:
堀田運営委員長、ありがとうございました。
続きまして、総本部の風祭流通推進委員長よりご挨拶申し上げます。
風祭:
皆様こんにちは。
いつも大変お世話になり、本当にありがとうございます。
会員に代わりまして、先生方のご尽力に厚く御礼を申し上げます。
総本部の流通推進委員長を仰せつかっております風祭でございます。
実は今堀田本部長の方から色々とお話があった通りなんですが、2月1日から「ラビーネット契約書類作成システム(クラウド版の契約書類作成システム)」が全国で使えるという運びになるということでございます。
これは堀田本部長を含め、近畿流通の理事の皆さんに本当にご努力頂きまして、やっとの思いで実現するわけです。
今日は「Z-support」の方で、士業の先生と今日お会い出来るということで、楽しみにして参りました。
本日皮切りに、これからも色々な形で、今後も皆様とコミュニケーションを取りながら、事業は総本部・関東流通・近畿流通にて、事業形態をきっちりと構築していくつもりでございますので、先生方も今後共ご指導の程宜しくお願い致します。
米原:
風祭委員長、ありがとうございました。
続きまして、角前システムソリューション事業部長よりご挨拶を申し上げます。
角前部長、宜しくお願い致します。
角前:
本日は公私共お忙しい中この座談会にお集まりいただきましてありがとうございます。
まず、この「Z-support」についてですが、今年の4月で開始してから9年という年月を迎えようとしております。
これもひとえに、先生方の皆様方のご協力があってのものだと思っております。
また、「Z-movie」という先生方の動画を、会員の質向上のため会員向けに配信し、ここでも尽力を頂いておりましたが、昨年の11月に協会のHPの方から一般消費者向けに公開したところ、非常に好評をいただいております。
本当に御礼を申し上げます。
さて、今日の座談会でございますが、『士業と不動産業者との連携、あるいは士業間の連携』についてということで、本日は、2022年問題・生産緑地の解除というところ、また農地・高齢化に伴っての相続といったところで、
士業間で、専門分野だけでは十分な解決が出来ないような案件を、先生方のお力の連携で何か突破口が開けないのかなというところで、先生方から色々なご意見とかヒントを頂けたらということで、よろしくお願い致します。
米原:
角前システムソリューション事業部長、ありがとうございました。
続きまして、本日ご出席の方々のご紹介ですが、先生方からお一人ずつ自己紹介をお願いしたいと思います。
松本:
弁護士の松本康正でございます。毎年、座談会への参加を楽しみにさせて頂いております。必ずしも専門的に熟知していない分野についても、座談会は勉強になる場ですので、今日も色々と勉強させて頂ければと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
松藤:
弁護士の松藤隆則でございます。今日は、私も同じくこの座談会を楽しみにしております。
また、昨今色々と不動産環境が大きく変わって、法律や条例もかなり変わってきた中で、専門家に求められる役割というものが大きくなっているように感じております。本日は、よろしくお願い致します。
原:
プラスワン建築設計事務所の原と申します。昨今の建築業界は、物件はたくさんあるのですが、現場監督も少なく職人も少ない、設計をする人も少ないという状態でございます。結構、人員不足の業界となりつつありますので、皆で盛り上げて頂いて、建築業界が盛り上がっていけたらと思います。今日一日楽しませて頂きますので、よろしくお願い致します。
梅村:
司法書士の梅村です。今年も参加させて頂きまして、ありがとうございます。色々な立場から色々な意見がお聞きできる座談会は、ためになったと毎年思っております。今年もまた、色々とアドバイスいただき、勉強させて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。
大庭:
司法書士の大庭と申します。昨年辺りから相続に絡む遺産承継業務の依頼が増え、時代の流れを感じているところです。本日はそういったお話も出来れば…と思っています。よろしくお願い致します。
小礒:
税理士法人KTリライアンスの小礒と申します。私も毎年、座談会を楽しみにしております。今回の座談会のテーマは「士業間連携」ということで、我々税理士も不動産の処分や相続の方面での連携が大事だと認識しております。税理士だけでは解決できない法律の問題であったり、不動産関連の市場相場など、今日はそれぞれ専門家の方々とお話が出来ることを楽しみにしております。
西田:
司法書士法人リーガル・コラボレーションの西田と申します。司法書士ということで、登記業務ばかりで視野が狭くなっているかもしれない日常業務の中で、様々な士業の皆さんと出会える機会を頂き、ありがとうございます。本日は初めて参加させて頂くということで、どうぞよろしくお願い致します。
金:
弁護士の金と申します。ここ数年、座談会に参加させて頂いておりまして、不動産業者さんの抱えておられる悩みや関心事、そういった事に触れられる非常に貴重な機会だと思っております。よろしくお願い致します。
福井:
税理士の福井と申します。自分の専門外の色々な専門家の方とお付き合いをさせて頂けるこの座談会を、非常に楽しみにしております。どうぞよろしくお願い致します。
鈴木:
土地家屋調査士の鈴木と申します。座談会には、初めて参加させて頂きます。業務上、不動産業者さんとは密接に関わっている中で、色々な意見交換が出来ればと思っております。よろしくお願い致します。
中野:
司法書士の中野と申します。座談会は初めて参加させて頂くのですが、本日は精一杯吸収して成長したいと思っています。また、自分の経験をお話することで少しでも皆さんのお役に立てればと思います。何卒、よろしくお願い致します。
中島:
弁護士の中島と言います。空き家の対策のためのNPOで活動したりしています。本日は、どうぞよろしくお願い致します。
丹臺:
こんにちは。システムソリューション事業部の丹臺耕平と申します。空き家対策で、お客さんの“売りたいけれど、売れない”という話などの解決法を探れたらと思っています。どうぞ、よろしくお願い致します。
松本:
システムソリューション事業部の松本です。初めて今回参加させていただきます。色々勉強して帰らせて頂けたらと思います。今日はどうぞよろしくお願いします。
月城:
兵庫県本部の月城と申します。座談会は、今年で2回目の参加となります。前回は先生方の色々なお話を聞いて、ビジネスのいいイメージを得る事が出来ました。今日は本当に楽しみにして来ましたので、よろしくお願い致します。
藤田:
こんにちは。システムソリューション事業部の藤田と申します。本日はよろしくお願い致します。
荒木:
京都府本部の荒木です。今日は皆さまの知識をどんどん吸収して、日頃の業務に繋げていきたいと思います。よろしくお願い致します。
田中:
京都府本部の田中です。今年もタイムリーなお話をしていただけると、楽しみにしてきました。どうぞ、よろしくお願い致します。
龍:
システムソリューション事業部副部長の龍と申します。こうやって座談会で、実際に先生方のお顔を拝見して、色々な意見をお聞きするのを、非常に楽しみにしております。どうぞよろしくお願い致します。
米原:
システムソリューション事業部副部長の米原と申します。今やっている空き家対策事業で、解決の難しい所などを、本日は勉強させて頂きたいと思います。よろしくお願い致します。
梅原:
当流通センター運営委員長兼奈良県本部長の梅原寛克と申します。よろしくお願い致します。
坂本:
和歌山県本部の坂本でございます。今日は皆様と色々意見交換させて頂きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
米原:
皆さん、ありがとうございました。本日は、よろしくお願いいたします。
それでは早速、座談会に入らせていただきたいと思います。
本日の座談会の座長ですが、当センターの角前システムソリューション事業部長にお願いしたいと思います。
角前:
今日は、座長ということでよろしくお願いいたします。
まず、「士業と不動産業者との連携」あるいは「士業間の連携」ということで、前半は「2022年問題、生産緑地の指定解除」というサブテーマで、後半は「空き家対策」というサブテーマで、ご意見交わしていただきたいと思います。
もうご承知だとは思いますが、生産緑地指定を受けることによって固定資産税・都市計画税の軽減されてきました。
また、相続税の評価減、相続税の納税猶予制度といったものがありました。
これが、2022年から、生産緑地の指定を受けて30年を迎えた物件が指定解除を迎え、市場に増えるのではないかということでですね。
ハウスメーカーさんが、これに伴ってセミナーを開かれたり、税理士事務所さんでもこれに伴って相続対策を、などといったようないろいろな講習を開催されたりされています。
また「終活」というような言葉も出てきていますね。
その「終活」に向けて、今持ってる不動産を将来に向けてどうしていったらいいのか…というようなことも、一般消費者が本当に真剣になって考えてらっしゃるように思います。
こういった中で今、次を引き継ぐ世代がいない農地というものがわんさかとある中で、国土交通省が、これを農地付き住宅、あるいは農地を事業者に継承して頂こう、というような事を色々考えているようです。
こういったところで、生産緑地あるいは農地で、ご相談を受けられたり(事業展開っていうのは、適切かどうかわからないですが)事業展開をお考えになられたり…などについて、よろしければお話をお聞かせ頂ければと思います。
まずこの件で、私も色々とお話しをお伺いさせて頂いた税理士の福井先生いかがでしょうか?
福井:
福井でございます。
実は、去年だけで大体10回くらい、通算で25回くらい、某ハウジングメーカーが主催する「生産緑地対策セミナー」というようなセミナーをやっております。
日経新聞さんなどから、取材なども受けております。
それで感じるところは、そのセミナーに来るお客様の多数は、現在の土地所有者さんではなく、そのお子さんたち…特にお子さんたちの中でも、配偶者というのか、長男のお嫁さんなどが心配して来られるケースが非常に多いです。
ですので、当然長男のお嫁さんが来たときには、「父(義父)には言わないで下さい。」というような、「限定」で相談を受けることが非常に多いです。
「父に言わないで下さい」という言葉の中には、お父様(所有者様)自身は、生産緑地を持っている、農地を持っている、畑を耕している…ということにプライドを持っているので、それを息子さんの代になって「やめる」とはなかなか言えない…という意味が含まれています。
その息子さんやお嫁さんの世代になると、「まぁ農家はやる気はないというのが本音」というのが、非常に多くある(パターン)かなと思います。
但し、生産緑地というのは「三大都市圏(特定市)にしかないもの」というのが大原則でございます。
この広い三大都市圏っていうのは東京、大阪、名古屋ですので「それ以外の方には関係ないのかな」というと、そうでもないんですね。
三大都市圏以外にも、当然「農地」というのがあって、「農地で畑をやっている方」というのは、同じような悩みを持っていらっしゃると思います。
それで、「なぜ、そこで畑をやらないのか」ということになると、これは非常に単純で、現状でもかなり古い2011年の統計だと思うのですが、専業農家さんを除くと、大体収入の25%くらいしか農業所得がない、残りの75%くらいはほぼ不動産所得。その他10%くらいあるのですが、農地を持ってる地主さんのような方のほとんどが、出来れば不動産所得を得たいと考えておられます。
特に、三大都市圏に農地を持っておられる生産緑地のオーナーさんは、やはり市街地に近い便利なところに大きな土地を持っているということになりますので、そこでアパートなりマンションを建てて、不動産所得を得たいと考えておられる。
我々のような次の世代、つまり、畑をやっていない世代ですね。
そういうところが非常に多く相談にいらっしゃる…というのが現状なのかなと思います。
それで、その方々のご意見を聞くと、「父の代では、解除して売ることはできません。」と正直におっしゃいます。
その理由は、先ほど角前部長からもあったように、納税猶予をしているため。
「今、売ってしまうと相続税プラス利子税を払わなきゃいけないので、払えなくなってしまいます。」と、「他にはなかなか言い出せません。」というような相談は多々あります。
某ハウジングメーカーが主催する「生産緑地対策セミナー」というようなセミナーで、主に何をやっているかというと、「亡くなった人の土地をどうするか」というのを考えてリスト化しています。
セミナーのダイレクトメールも、都市計画課に行って、生産緑地のオーナーさんを全部調べて、そこにダイレクトメールを送っています。
ですので、セミナー自体も何十人何百人と集めるのではなくて、ピンポイントで大体10組程度ですね。
ちょっと普通のセミナーとは違って、10組程度を上限としてセミナーを実施していて、そのあとに「具体的な相談があったら何でも相談して下さい。」というような小規模のセミナーを開催しているので、去年だけでも10回くらい…というような回数になってしまうというわけです。
但しですね、この「生産緑地」については、ちょっと前までは「ほとんどが宅地化されるだろう」ということだったのですが、
特定生産緑地という制度が出来て、「10年延長出来ますよ。」というようなことになっているので、インパクトは以前よりは薄れてきているのではないのかなと思われます。
生産緑地で相談に来られる時の問題点としては、やはり税理士だけではどうしようもないですね。
相談に来られるお客様たちの関心ごとは、やはり「生産緑地を解除したら税金はどうなるの」というところではあるのですが。
皆様なら簡単に分かると思うのですが、そこは生産緑地・畑・農地何でもいいと思うのですが、なかなか測量も出来ていないし、丘陵地が多いし。
亡くなった後、もし市街化区域の生産緑地であったとするならば、税金がどうなるか、遺産分割がどうなるか、登記はどうしたらいいのか。
売るためには農転して、当然宅地化して売却したいと思いますよね。
納税もしなきゃいけない。それじゃ、それ誰がやるの?遺言書を書くにしても、誰がそれを切り出すのか。
実際に、今の農地のままで広い土地を持ってらっしゃる方が居るので、そこには不動産業者さんが入らないと、どこの生産緑地の土地が売れるのか全く分からない状態で、皆さん相談に来られます。
某ハウジングメーカーが主催する「生産緑地対策セミナー」自体は、私(税理士)と、土地家屋調査士さん、不動産鑑定士さん、それと弁護士さんとハウジングメーカーさんとでやっておりますので、我々は、その相談をきっかけにして、弁護士さんが「遺言書を書くならこうしましょう。」とか、それぞれの専門分野に一度に相談ができるというのでメリットがあるのだと思います。
やはり、生産緑地のセミナーで肌で感じるのは、「税理士だけではどうしようもない…」ということですね。
生産緑地、農地の問題は、特例などが非常に多くて、色々な相談を受けるので、(税理士)一人ではどうしようもないんですね。
そういう時でも、一人でやらざるを得ないとは思うのですが、隣に不動産業者さんが居て「この辺で売ったら幾らですよ。」とか言って頂ける、弁護士さんが「法律的にはこうですよ。」と言って頂けると、
鑑定士さんなら鑑定士さんの…という風に、それぞれ専門家の皆さんの意見を聞けるというのが非常に役に立つというのではないかな…と、いつも思います。
そういう意味では、士業間連携のサブテーマではございますけども、それを契機として、士業というのは一人では何もできないという事を認識して、それぞれの専門分野は専門分野が得意な人に振ることが大切なのではないかなと考えます。
角前:
福井先生ありがとうございました。
今、福井先生からも色々とお聞かせ頂いた中で、既にご教師の士業の先生方がステージに登場されているという所で、本当に2022年(平成34年)には、本当に「これは、ビジネスチャンスなのかな」という風に、我々不動産という立場におきましては思っております。
先ほどお話にあった「10年の経過措置、猶予ができるようになったので…」という特定生産緑地という制度に関連して、結構私ども大阪の方では、この2022年でこの生産緑地の郊外のニュータウン周辺の生産緑地が解除されると、
そのニュータウンの土地がもう暴落してしまうのではないか…というようなことを、相当心配をされている土地所有者様も多数見受けられるように思います。
そういった時に「住み替え」というところで、我々不動産の業者として、色々なご提案等をやっていけるのかな…という風に感じたところでございます。
今、福井先生が仰って頂いた事に対して、他の先生方で「うちはこういったことをやっているよ」とか「こんな相談があった」など、お聞かせ頂ける先生いらっしゃいますでしょうか。
鈴木先生よろしくお願い致します。
鈴木:
私、某相談センターで相談員をやっているのですが、そこで職業(土地家屋調査士)柄、実際に土地の測量をさせて頂いている中で、生産緑地そのものというより、伊丹など生産緑地の多い地域では、その周辺の昭和40年、50年代に開発された住宅地などで、生産緑地が解除されたら土地が暴落するんじゃないか…ということで、逆に周辺の住宅地の方が、敏感になっておられるのかなという気はします。
生産緑地そのものについては、実際にきちんとした土地であれば、既に生産緑地云々という前に色々な形で処理されていると思うんですね。
不成形地とか接道の問題で、簡単には建物が建てられないなどの問題があって、「仕方がないから置いておく」という形の方も多いですし、行政がやはり保全の方向に考えているという傾向もございまして、どれくらいが宅地化されるかというのは未知数なんですけれど、「意外とそうでもない」と予想される方も多いと思います。
セミナーなどでも、生産緑地のことにご関心のある方が多いのですが、やはり我々土地家屋調査士の立場からすると、大手のコンサルがミニ開発っていう形で、数千平米規模の生産緑地について、その中で接道を取ったり、色々な形で駐車場、或いは宅地にする部分とか、色々な有効利用やギリギリの活用方法、一番最大限の活用方法などを提案して、営業をされているとお聞きしています。
ただそうした場合、区画開発整理に伴うお金はどうするのとかと言うと、やはり土地の等価交換という方法(無償)でされるという、そういう斬新な手法を取っておられるところもあるようです。
我々も、仕事柄お聞きする範囲で言えば、そういう事もアイデアとしてやっておられると、そういうこともございます。
角前:
鈴木先生ありがとうございました。
今、お聞かせ頂いたのは、土地の等価交換で地主様の工事費の捻出をするといった方向でのご提案があったというようなことでしょうか。
鈴木:
そうですね。
これはある程度技術的なこともございますし、境界の確定というのが大前提で、生産緑地は当然住宅地の規模ではないので、やはり今からですね。
境界確定を事前に行い、2022年になると一挙に活動できるという形で、水面下ではかなりその動きは浸透しているようです。
実際、我々も生産緑地の土地の境界の確定というのは、結構ご相談がございます。
角前:
ありがとうございます。
そういった時に、相続税とか固定資産税や保有税など、小礒先生、何かアドバイスいただけますでしょうか。
小礒:
生産緑地の相談は受けたことがないのですけれども。
お客様に、結構広い農地をお持ちの方がいらっしゃいまして、そこは農地というか田んぼで、80歳代のお父様がずっと農業をされておられたのですが、その息子さんが借金をこしらえてしまって、その土地を売りたいというお話でご相談を受けたことがあります。
私も、税金の売却益とか、売却の計算はわかるのですが、その土地を「どういったところに売ったらいいのか」など、その辺のところがわからなかったので、不動産業者の方にお任せして、結局は無事に土地が売れて借金も返せたということがあったのですけれど。
生産緑地の相続税で、納税猶予を受けてる方は、解除になった地点で、福井先生も仰っていましたけども、莫大な税金がかかってくるので、まず延長するしかないんだろうな…とちょっと思っていた所です。
相続税の猶予を受けてないという方の場合なら、有効活用であったり、色々提案が考えられるということは思っていて、現在、2019年ですが、2020年に東京でオリンピックがあって、大阪の方は万博も決まったということで、逆に不動産業者の方にお聞きしたいのは、これからのそういうイベントごとを踏まえて、関西の土地の状況が、どちらの方向に向いていくのか、をお聞きしたいですね。
上がる方向に向かうのか、生産緑地が世の中に放出されて下がる方向に向かうのか、その辺の流れや、どういう風になっていくのか、なかなか予測は難しいとは思いますが、お聞きしたいと考えていたところです。
角前:
小礒先生、ありがとうございます。
今、小礒先生からお話ございました、関西の土地の状況についてですが、今年はサミットがあって、ラグビーのワールドカップがあって、来年はオリンピックですね。
再来年にはマスターズがあって…と、本当にもう良いこと尽くめで、地価なども落ち着いているのではないかという感じがあるのですが…。
農地などの転用など、色々な宅地造成や開発というところで、今、和歌山県での市場変化というのはどのような状況なのでしょうか。
坂本:
和歌山市内はもう地方の関係で作られていて、なかなか調整区域の開発が出来ないような状態になっているのが現実です。
ただ、市街地化区域の中で、開発関係を色々していく和歌山の業者がいらっしゃるのですが、他方でどんどん和歌山に入ってくる大阪などの業者もあって、和歌山もかなり競争が激しくなっているような状況です。
ただ、果たしてそれだけの住宅を買う方がいらっしゃるのかと言うと、そんなに多くはない…ということで、そうなってくると、ちょっと供給過多的な形になっているのが現状です。
また、業者間でお客様の取り合いになってくると、やはり値下げ合戦が相まってくるわけで、現実よりも値段が下がってくる部分がある…という感じがあります。
和歌山県全体で言えば、人口も昨年は一万人ほど減少しているような状況で、過去最高記録を更新したということで、人口減少が問題になってきています。
現実、あと5・6年すれば、和歌山市内の人口も30万人を切るという風な状態なので、大阪、京都、神戸…この辺りの関西の都市圏から言えば、これから満足いく関係もございまして、当然、京都などはそうだと思うのですが、和歌山県などは特に値は下がっています。
そういう部分では、二極化していっているのかな…という感じで、将来的にはそう思うところですね。
角前:
坂本本部長、ありがとうございました。
では、奈良はいかがでしょうか。よろしくお願いします。
梅原:
奈良は、奈良市…市街地が、生産緑地でほぼ売りたいという要望の方が非常に多いように感じております。
あと、うちに寄せられる相談は、2年先というよりも、生産緑地解除に向けたご年配の方々が、多いような気がします。
あるいは、2年後もまたそのまま猶予して、また次の方が今すぐにでも売却したいという感じがします。
角前:
梅原運営委員長ありがとうございました。
京都はいかがでしょうか。
田中:
そうですね。
生産緑地について、ちょっと集まって話し合ったことがあるのですが、
今の段階では、相続対策の方がウエイトが大きいのかな…と思うことが多いです。
角前:
ありがとうございました。
それでは、米原副部長、兵庫ではいかがでしょうか。
米原:
私自身は、生産緑地であるエリアであまり取引をしていないので、あまりよくわからないのですけれども、今、神戸や芦屋、西宮の一部では、非常に値段が上がっておりまして、でも、もういっぱいいっぱいなのかな…という感じですね。
土地や新築の一戸建てなどを見ていますと、良い条件のところは売れますが、ちょっと外れると、もう売れていない、売れ残っているような物件が多いので、お客様の目が厳しくなっている、かなり選別がされているという印象です。
例えば、この前もあったのですが、とある住所でこの右の東側は売れるのに、西側は売れないとか。
値段が坪20万ほど下がるという状況になっている場合があるようです。
私の知る限りでは、いわゆる「良いところ」というのは生産緑地というのはないですから。
生産緑地というのは、ちょっと外れた所にある訳で、生産緑地があるようなエリアで、そのような物件が出てきたところで、売れないものがまた供給過多になって、値段がドーンと安くなるだけの話で、良いところ…皆が欲しいと思うところには、生産緑地問題というのはあまり関係ないのかな…という風に思います。
角前:
米原副部長、ありがとうございました。
各地方でお伺いしていますと、やはり二極化している「良いものは良い」「悪いものは悪い」ということに尽きるような感じなのかな…と思います。
今、ここでお聞かせ頂いた知識を元に、我々流通の人間が、きっちりと選別をして、先生方と連携をして、最終の出口を取れるのか取れないのか…ということを、しっかりと判断していかなければ、後々、クライアントに迷惑をかけてしまうことになるのではないかというような風にちょっと思います。
また、先ほどお伺いしていた中で、「10年猶予を使う」ということで、そういった地主さんが多いということ。
ただ、私がこの2〜3年で増えてきていると感じるのは、そういった相談をしている間に認知症などになってしまって、売却する時の意思能力の問題が発生するケースです。
10年猶予を取られることによって、そういったリスクが増えてくるのかな…と思ったりもするのですが、そういった点で、何か松藤先生からアドバイスなどございますでしょうか。
松藤:
あまり生産緑地で…というのは経験がないのですが。
角前:
それでは、相続といったところで。
生産緑地では「10年猶予」というところですが、その10年の猶予を受けることによって、その期間に意思能力が欠落されてしまうご高齢の方のリスクに対するアドバイスなどがあればお願いいたします。
松藤:
一般的には、高齢化が進んできていますから、意思能力の無い方の不動産取引も増えてきていますので、仰る通り、成年後見を含めて考えていかなければならないと思います。
最近は、「家族信託」なども人気になってきていますから、ある程度そういう先の見通しを含めて考えていかなければならないと思います。
角前:
ありがとうございます。
松藤先生の方から、「成年後見」と「家族信託」という言葉が出てきましたが、昨年「家族信託」というところで、梅村先生と色々と意見交換させて頂いたのですが、その後、生産緑地関連で、家族信託を活用されたとか、士業間連携で活用されたというような事例はございますでしょうか。
梅村:
事例としては無いのですが、相談を受けることは多いです。
角前:
例えば、どのような相談を受けるのでしょうか。
差し障りが無ければ、お話いただけますでしょうか。
梅村:
そうですね。
先ほども多々仰っておられたのですが、相談の主体がどうしても相続人の方という場合が一番多くて、結局、ご本人にお会いしてみると、そんな事は考えてもいなかったり、はっきりと意思も言えない状況だったりもしたのですが。
農地のことで言いますと、生産緑地の地域内で農地として貸している方で、非課税を選択されて固定資産税を大量に支払っていて、それを何とかしたいということだったのですが、その方が、今後その管理建物を建てたりとか転用してとかいう時に、所有者ご本人では、判断もできない状態で、その法務手続きを息子さんの方で全部していきたいんだ…というような事例がありました。
角前:
ありがとうございます。
生産緑地を外されて、通常の農地で固定資産税の軽減を受けられない状態で農地を貸しに出されて、将来的にその土地をどう活用していこうかということを模索されていた…という事でしょうか。
梅村:
そうですね。
角前:
でも、すごく良い場所だと、とんでもない税金になりますよね。
今、貸している方も、結局、固定資産税も賄えない地主さんになってしまって…
先ほどの話で、土地として高く売れるところ、売れないところという土地の二極化になりますが、売れないところで土地を解除して売りたいと思っても、売れないというような事も生まれてきているという中で、固定資産税も賄えないなんて。
早い時期から各プロ集団が集まって、どういうご提案が出来るかという事を、本当に考えてあげられるといういい機会なのかな…と思います。
梅村:
ありがとうございます。
小礒:
農地として貸す場合は、固定資産税であったり、生産緑地の減税ですね。
農地並み課税というのが、適用されるようになったという改正があったと思うのですが…
角前:
ありがとうございます。
今、小礒先生の方で、税改正の優遇があったのではないかということですが、
この件に関して、ご存知の方がいらっしゃれば教えて頂ければと思うのですが。
福井:
確かに、認定都市の貸付企業などに貸す場合などですね。
あとは、農園に貸す場合などについては、納税猶予を受けれるような相続税上の制度はありますが、それが固定資産税も同じようになっているのかについては、ちょっと知らないですね。
月城:
生産緑地をして、それを30年間、2022年に解除した場合に、その相続税を猶予していた場合と、払っていた場合と。
あと10年間延長出来るということで、それが生産緑地になった時に、その前の先代から引き継いだ相続税と、その評価額について、100あるものがどれぐらいになって、それを生産緑地として引き継いで猶予した場合、大体のイメージとして、どういう風な感じになるのかを教えて頂きたいです。
福井:
まず、先代から相続が発生した時に、生産緑地の場合は、納税猶予をするか、そのまま相続税を払うか…ということが選べます。
そして納税猶予をした土地については、登記簿を見て頂くと、必ず抵当権者が「財務省」または「大蔵省」と記載されているので分かりやすいです。
そこに、相続税額と利子税がいくらであるかということが書いてあります。
そういう土地を持っていらっしゃる方が、納税猶予をしている方…ということになります。
納税猶予をしている方については、生産緑地でいうと「30年間、必ず営業しなさい。」ということが決められており、もし辞めた場合には、「その辞めた時点で、本来支払わなければならない相続税と利子税を支払ってください。」ということが決められております。
その金額は、元々の金額を100とするならば、納税猶予をするとその100が、ほぼ0だと思って頂いていい位です。
ほぼ払っていないその方が、もし亡くなられて引き継いだ時には、まず納税猶予をして引き継いで免除されます。
その亡くなられた次の方の相続税が発生しますので、その10年、いつでもやはり、私は生産緑地の制度を受けます。
30年経過する前に制度の適用を受けると、自らが手を挙げないと納税猶予が一切使えなくなるからです。
ですので、2022年ということではなく、2021年の段階で選択しておかないと、次の世代は納税猶予を受けられない…ということになります。
そうすると30年して10年して40年経っても、その10年後にまた選択することができます。
仮に生きていたとしたら、また10年延長します。
月城:
農家をし続けていたら、ずっと相続税は支払わなくてもいいということですね。
福井:
そうです。
亡くなって辞めた場合は、100全部を支払わなければならないです。
亡くなっていなくて、おじいちゃんが居る場合で30年経って、解除した場合で、納税猶予している場合、それは支払わなければいけません。
月城:
その場合、100は100のままですか?それとも、100以上ですか。
福井:
大体100以上です。15年で1.5倍の利子税が付きます。
月城:
では、当時の30年前の相場は、今はまだ高いので、損をしないということでしょうか。
福井:
30年前、意外と高いです。
月城:
では、実際そういう人は売れないのでしょうか。
福井:
はい。
私もそのような相談を受けたことがあるのですが、もう絶対に売れないですね。
「相続人の方が皆さん女性で、嫁いでいらっしゃってどうしましょう。」と言われて、銀行の方を連れて来られました。
要するに、相続税を支払わなければならないから、先に融資を受ける準備をしておられた…というわけです。
月城:
結局は、おじいちゃんが亡くなるまでは、解除しないということですか。
福井:
解除しないということではなく、解除できない…ということです。
月城:
その途中でおじいちゃんが亡くなった場合には、残りの5年間で判断しなければいけないということでしょうか。
福井:
いえ、おじいちゃんが亡くなった時点で判断しなければならなくて、そこからリセットとなります。
角前:
福井先生、ありがとうございます。
あと、固定資産税、都市計画税ですが、特定生産緑地に指定されている場合は、現行の生産緑地に対する軽減措置と同様の措置が受けられるようです。
その他に、何か農地の件でご意見などありますでしょうか。
中野先生いかがですか。
中野:
そうですね。
生産緑地というのは、今、開業しているのが泉佐野市の関空の近くになるのですが、農地は多いようです。
結局、昔だからかもしれませんが、割と相続などを見ると、農地のところに家が建っていたり、地目なども整理されていないケースが多いですね。
農地に変わっているかも…という場合も、ひょっとしたらあるかもしれませんし、築も40年、50年経っています。
例えば若い世代だと、相続が起こった時、開発や売却といった時に、兄弟間でも関わり合いたくないから放棄したい…などの揉め事があったり、しかも、離れていたりなど色々な問題があるパターンが増えてくるのではないかと思います。
その土地が、生産緑地にかかっているといった事もあるかもしれませんし、2022年に一気に相続になった時に、皆さんが苦労する可能性というのは、やはり出てくるのではないかな…と思います。
結局、「価値のないものに、次世代の人は興味がない」というパターンが多いので、そういった場合に、我々士業もそうですし、不動産関係の皆様に協力を要請する話が一気にくる可能性はあるかもしれないという事は思っております。
角前:
ありがとうございます。
金先生、何かこういったところでのご相談や、相続などでお話頂けるようなことはないでしょうか。
金:
生産緑地ではないのですが、農地売買って…という時に、先ほど仰られていたような問題で話し合いが止まるというような事があったと思います。
コストもかなり掛かってしまって、今から準備しても、なかなか処分が難しい…ということがあるし、元の農地の状態がどうだったか、亡くなってしまってその辺の状況が話せないということが出てくると、なかなか和解というのが難しいな…という風には感じました。
角前:
金先生、ありがとうございます。
大庭先生は、いかがでしょうか。
大庭:
生産緑地に関しては、今まで携わったことがないのですけれども、去年の年末に、京都府内の方の物件で相続が発生した案件で、相続人のお住まいが奈良県内というご相談がありました。
京都府内の物件は、農地であるとか、未登録の建物などがあって、遠方のため、もう手に負えないので、全部売却するなどできないか…というようなご相談でした。
その辺りの行政書士さんや土地家屋調査士さんと連携して、農業委員会の許可書や非農地証明書を取って地目を変更したり、色々な調査や手続きをして、約1年かけて対応し、それらを処理して、ようやく去年末に無事、相続人から、新しい所有者に引渡しが出来た…というような事がありました。
角前:
大庭先生、ありがとうございました。
原先生、建築に関するところで、こういった相談などはありますでしょうか。
原:
生産緑地でひとつ例を挙げますと、この年末年始にかけてご相談がありました。
日頃からお付き合いのある、大きな敷地でこども園をやっておられるところなのですが、その隣に生産緑地が、同じぐらいの敷地でございまして、理事長さんがずっと前から、こども園を増築したいからその土地を売って欲しいとか、貸して欲しいとか、交渉されていました。
ところが、全然ダメだったのが、この年末になって急遽、「30年の定期借地権がいけるようになった…と向こうさんから連絡があった」とのご相談がありまして、生産緑地を宅地化にということで、もともと畑だったので、整地をして周囲にフェンスを張るという農地の許可申請ですが、そういうご依頼がありまして、市役所に許可申請を提出して、市役所が農業委員会に行って、地主さんが農地化をして、30年の定期借地権をして、今、出来つつあるという例がございます。
角前:
ありがとうございます。
松本先生はいかがでしょう。
松本:
弁護士としては、生産緑地の問題というところでは、直接係ってくるというのが、それほど無いかな…と思っております。
ただ、生産緑地の2022年問題ということで、生産緑地がどう動いていくのか…という行く末につきましては、高齢による土地取引や相続による相続対策、そういった枠組みで活躍の機会が頂けるのかな、そういった準備の必要もあるのかな…と感じております。
角前:
ありがとうございました。
それでは、システムソリューション部から、何か意見やご質問などございますか。
龍:
福井先生にお伺いしたいのですが、30年経ちますと、地元の公共団体に買い取りをお願い出来るという話を聞いたのですが、これは、地方の公共団体としては、買わなければいけない…ということなのでしょうか。
福井:
生産緑地で30年が経ちますと、まず買い取りの申し出を、公共団体や地方団体にいたします。
その価格というのは、農地の価格ではなく時価となります。
生産緑地は、三大都市圏の都市区域、市街化区域なわけですから、非常に高く予算がありませんので、公共団体は買わない。
そうすると、次に「斡旋」と言って、一般の事業者に斡旋をするわけですけども、普通に農業を続けたい人は都市部でわざわざ農業をする必要は無くて、地方に行って農業をした方が、コスト的にも非常にメリットがあるということで、横浜市の例を挙げますと、買い取りの申し出があっても一度も買った事は無いというのが現状ですね。
事実上、一度、埼玉かどこかで1件あったような話は聞いた事があったのですけれども、ほぼ買い取り申請は受けないのではないかな…と思います。
角前:
ありがとうございます。
田中:
緑地解除されますと「遡って」と先ほども仰られていましたけれど、実質はどれぐらいまで遡るのか…。
先ほど、月城さんが仰ったように、実際に28年で解除された場合には、28年遡るのかというと、なかなか現実的ではないという気もしますので、そのあたりの実務的なお話を聞かせて頂けたらな…と思います。
福井:
納税猶予されるという場合の「猶予」というのは、相続税の話です。
相続税は、猶予すると、先ほども言ったように必ず抵当権が付きますので、納めなければいけない金額「本税」というものが、必ず確定しているんですね。
なので、時効という事は生じないのだと思います。
固定資産税については、そもそも安くなっているのは、生産緑地は農地として認められているから…ということが大前提だと思うんです。
農地ではなくて、高くなっている前提で言うと、農地ではないから高くなると思うのですけれども、「遡り」というのは、ほぼ起こらないのではないかな…と思うんですね。
ですので、「固定資産税を支払っていないから、時効だよ。」という事は、ほぼないのではないかな…と思います。
角前:
福井先生、ありがとうございます。
月城:
私からも聞きたいのですが、結局、納税猶予を30年にしなくて生産緑地になっているのは、お金があって、相続税は宅地評価の分を支払って、でも、土地活用などの予定も無いから、生産緑地で固定資産税を安いまま持っておこうか…という方なのでしょうか。
福井:
そうですね。
固定資産税だけは支払っていますが、相続税は支払っていない。
月城:
そういう方たちが、例えば20年か15年経った時に、実際、生産緑地を外せなかったというものなのですか。
福井:
生産緑地を外したかというのは、基本的に農業を続ける大前提というものがあるので、例えば、病気とか何らかの理由で農業が続けられないということになれば、仕方ないですね。
それは、解除条件となっているので、そういう事態によって解除になる…という事はあります。
月城:
そういう意味では、個人的には今のお話を聞いて、大分わかったのですけれども、2022年問題は、そんなに無いのではないかな…と思ってしまうのですが。
福井:
納税猶予をしていらっしゃる方というのは、大体、全体の約半数の方で、半数と言っても、何千ヘクタールという話になるので、問題になるのかな…と思います。
月城:
その方々が解除するにしても、手元に残るお金というのは、本当に納税猶予をしないで支払ったから残るということですよね。
福井:
そうですね、その通りです。
なので、10年とりあえず延長して…というのが現実的な話なのかなと思いますし、ただ、今持っている所有者の方が亡くなった場合を想定すると、次の世代が農業をするというケースが、なかなか実際には居ないという事が問題になってきます。
月城:
だから、そういう方々がそろそろ高齢になっていらっしゃって、世代が代わりそうな時なので、2022年以降に顕在化してくるということですね。
福井:
そうですね。
大体、納税猶予を受けていらっしゃる方というのが、60歳から65歳以上が半数なんですね。
その中で、後継者の決まっていない方が約3分の1で、もう絶対誰も継ぎませんよと明確に言っている方だけでも3分の1ぐらいいらっしゃるので、それを単純に掛け合わせると、確実に税金を支払うために土地を売らなければいけない可能性が出てくるということになります。
月城:
なるほど、よく分かりました。ありがとうございました。
松本:
生産緑地の指定を今日に外したとしても、当時は相続税猶予を受けているわけですよね。
それがなくなるわけではないですよね。
たまに「生産緑地を外せば土地が売れるから」って病院で診断書を貰ってくるから買ってよ、みたいな話を聞いたことがあるのですが、
絶対そんなわけにはいかないですよね。
福井:
そうですね。
納税猶予を受けている限り、相続税を支払わなければいけないのですけれども、それは生産緑地の場合の話であって、例えば、市街化調整区域の農地などですと、20年間農業を続けていれば、もうその時点で免除されるという、生産緑地とは別の規定などがありますので、その農地が何に該当するかという事が、結構重要なんです。
松本:
わかりました。ありがとうございます。
角前:
丹臺さん、何かありますでしょうか。
丹臺:
先ほどからのお話をお聞きしていると、不動産会社の方が生産緑地の相談を受けた場合、賃貸のアパートを建てるか、分譲マンションを建てるか、選択肢は大きく2つになるようですね。
10年延長しましょう…という選択肢は、不動産会社からすれば、無いと思うのですが、税理士の先生方からすると、「納税を10年延長する」「借入してアパートを建てる」「分譲地で売る」という3つの選択肢を提示されて、一般の方が相談に来られた場合で、納税猶予が付いていなかった場合には、どういったお答えをされるのかお聞きしてみたいと思うのですが。
個別の案件でそれぞれ違うとは思うのですが、お考えとしてはどうなのかな…と思いまして。
福井:
納税猶予をしていない前提で言うと、先ほどもあったようにまずは「場所」がどうかという事ですね。
収益物件を建てれば良いような場所であれば、そういう物件を立てることをお勧めしますが、最近の若い世代の人たちは、良い収益物件を建てられる場所であっても、マージンが出るようであれば、それよりも、一気に売ってしまってお金を貰いたいというような方が非常に多いです。
私の相談者の中では、わざわざ少子高齢化が進んできている中で、「収益物件を建てるなんて事はしたくないよ。」とおっしゃる方が多いような気がします。
とりあえず、「売ってしまおう」という流れの方が多いですね。
角前:
ありがとうございます。
藤田さんは、いかがですか。
藤田:
私の個人的な印象ですが、今、全体的にお話しを色々と聞かせて頂いていて、要は、2022年問題というのは、私たち不動産業者の立場から言うと、供給過多になって、全体的には相場が崩れる、暴落するのではないかというこちらの問題が大きいだろうと思っていたのですが、お話しを聞いていると、どうも所有者の方の問題が一番大きくて、市場に対する影響というのは、さほど少ないような気がしています。
先ほど、原先生が仰っていたこども園のお話しですが、その地域というのは、既に区画整理も出来ていて、「売るよ。」となったら、そのまますぐに宅地化できるという状況です。
それを考えると、一瞬、供給過多という事も考えられるのですけれども、よくよく全体的な事を考えると、それこそ境界線の問題もありますし、接道の問題もありますしね。
即、それが業界に与える影響は無いな…という感じがしました。
ただ、それよりも問題なのは、収益物件を建てられた場合に、賃貸関連の供給過多の方がよっぽど問題になるのではないかと思いました。
そしてそれが、その後の空き家の問題につながっていくのではないかと…。
角前:
2022年生産緑地問題が、空き家の問題の方へスライドしていきましたが…。
2022年生産緑地問題について、東京での状況などをお伺いしてみたいと思います。
ここで、東京からお越しいただきました風祭委員長、いかがでしょうか。
風祭:
東京でも生産緑地の問題はあるのですが、2022年に一番直面しているのは、東京の場合は、すぐに所有者移転になってしまうという状況にあります。
ハウスメーカーさんと農協さんとの壁があって、なかなか業者さんが入り込めないというのが東京での今の現状でございます。
逆に、これが一気に出てきた場合には、供給過多という状況になると思うのですけれども、今、現状としてはその辺のところまではまだいっていないと思われます。
角前:
風祭委員長、ありがとうございました。
あと、生産緑地ということでは無く、農地というところですね。
田舎の一軒家の農地や、畑、山、山林といったところですが、先ほど、土地家屋調査士の鈴木先生が境界線の件をお話くださいましたが、色々とご苦労されているというところにつきまして、何か我々がそういった相談を受けた場合に、こういった点に注意して、もっとこうすればいい営業が出来る…といったアドバイスやご意見を頂けますでしょうか。
鈴木:
土地の境界線の事について言うと、よく不動産業者さんの場合は、契約されてから相談されるのですが、相談を受けた時点で、ある程度その隣接の方の状況を把握していただければと思います。
境界線の場合は、ほとんどが隣接の方の問題であることが多いからです。
話し合いが延びたり、頓挫したりということが起こったりする要因は、隣接している方にかかっている事が多いので。
特に隣が空き地がある場合や、空き家である場合は、実際にどんな方が住んでおられるのか、或いは、本当に不在なのかを必ず先に見極める必要があると思います。
決算というものが立てられないということをよく聞きますので、不動産業者さんが出来る事で言えば、そういう近所付き合いなどの聞き込みなどが重要であると思っています。
角前:
鈴木先生、アドバイスありがとうございました。
来月号では「Z-supportアドバイザー座談会(後編) −空き家対策−」を掲載いたします。ご期待ください!