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法定相続情報証明制度とは?…これは使える?使えない??
平成29年5月29日から、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まったと聞きました。しかし、ある税理士さんに尋ねると、制度が始まったばかりで、相続税の申告には未だ使えないとか、金融機関の相続人証明としても銀行によっては使えないところもあるとか言われます。
この制度は不動産登記の為だけの制度でしょうか?
その内容と、使える、使えない部分を詳しく教えて下さい。
現在、不動産登記記録の記載によっても所有者が判明しない不動産が増加していることが問題視されています。それはすなわち、空き家・空き地の放置に繋がり、遊休農地を発生させ、農地集約化の妨げとなります。また、公共事業の為の用地取得の弊害となり、また、森林の適正な管理ができないなど、様々な社会問題が生じています。
長期間に及んだデフレ経済の下では、不動産に対する関心は多様化し、必ずしも所有を望まず、逆に管理や課税に対する負担を嫌う人が増え、遺産分割や相続登記をせずにそのまま放置するといったケースが目立ってきています。
そのような状況にあって、法務省では相続が発生した時に必要な相続人確定手続に着目し、特に複数不動産の相続登記には都度戸籍謄本等の関係書類を提出する必要から、煩雑さゆえに申請意欲が削がれているとも考えられることから、主として相続登記促進の一助としてこの制度が構築されました。

そこで、ご質問にある相続登記以外の利用については法務省管轄外にあたる為、未だ整備が進んでおらず、これからこの制度をどのように活用することが可能かを順次検証していく段階であるというのが「使えない」理由です。

では、本制度の主たる利用に関する詳細について解説します。
1.事前準備
相続の手続きには、故人(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍など全てが必要)や相続人全員の戸籍謄本、住民票などが必要となります。また、相続人が被相続人よりも先に死亡しており代襲相続となる場合は、その亡くなっている相続人の出生から死亡までの上記戸籍の全ても必要となります。

2.申請
1.の戸籍関係書類を用意し、被相続人所有の不動産を管轄する法務局(ただし、被相続人死亡時の本籍地、被相続人最後の住所地、申請人住所地のいずれでも可能)へ持参します。
併せて相続人は、被相続人や相続人の戸籍関係書類に基づいて「相続関係説明図」を作成します。この相続関係説明図と戸籍関係書類一式を前述した法務局に提出し、証明文を付してもらいます。なお、申請人は、相続人もしくは代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)に依頼することも可能です。また、被相続人に所有する不動産が無くても申請することが可能です。

3.確認・交付
法務局登記官により申請人が提出した書類を確認後、認証文付き「法定相続情報一覧図」の写しを交付してもらえます。これは、法務局保存期間(5年)以内であれば何度でも無料で交付が受けられるということです。ただし、交付申請には最初に制度利用申請を行った者が申請しなければならず、代理人申請には委任状が必要です。

次に、ここで法務局から交付された「法定相続情報一覧図」が、どのようなシーンで活用されるのかを想像してみると、例えば、金融機関の窓口で、被相続人名義の預貯金関係の管理(凍結口座の解凍)、年金や保険手続、相続税の申告などに利用が期待されます。
ただし、前述したように本制度は法務省管轄の制度であり、相続登記を促進する為に構築されたものですので、現在のところ相続登記には利用可能ですが、その他の用途は関係機関の判断に委ねられている(大手メガバンクの一部、ゆうちょ銀行、明治安田生命など複数の金融機関が既に利用を容認している)他は、国税庁や金融庁においては正式に利用を認めたという発表は無いようです(平成29年9月30日)。
※相続税申告について
相続税の申告は、「戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの」を添付する必要があります。「認証文付き法定相続情報一覧図」の写しには、同順位の相続人と併せて全ての相続人が記載されます。従って、全ての相続人が記載されるのであれば、戸籍の謄本に代えて「認証文付き法定相続情報一覧図」の写しを相続税の申告書に添付することが認められるようになることが期待されています(要法律改正)。
2017.11.06
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空き家の相続…相続人さん!揉めている場合じゃありませんよ!
数年前に父が他界し、実家の相続で母に所有権を移転しましたが、その母も平成26年に他界しました。実家には母が独りで住んでいましたが、今は空き家です。父母の間には私と兄の二人がおり、母の相続では預貯金関係を兄が管理するというので任せていますが、お墓の建立も最近になってやっと出来たぐらいで、納骨もせず、父母のお骨もほったらかし。実家の片付けに至っては、金目のものは直ぐに兄が引き取りましたが、その他は母の生前のままで、私が片付けようとすると勝手に触るなと文句を言うだけです。私も兄も自宅が在るので、実家には戻りません。せめて実家は半分ずつ相続し、早急に処分したほうが良いと思うのですが、兄は平成31年までに売れば税金が掛らないから焦る必要はない、と言って例のごとく全く動きません。兄の言う、税金が掛らないというのはどういう意味でしょうか?それは本当でしょうか?
遺産相続における相続人間の揉め事は、今昔問わず日常茶飯事の世の中です。遺産総額の多少に係わらず、それまで仲が良かった兄弟や親戚の関係も、お金が絡むことで残念な方向に。
さて、ご相談の本旨である、「平成31年までに売却すれば税金が掛らない」というカラクリを説明する前に、最もオーソドックスな相続手続き(相続から売却まで)について解説しておきます。
解説事例:相続対象財産が不動産(実家の土地150屬斑肋絏伐亜砲両豺腓覗蠡蛙佑子供2名、法定相続後に当該土地建物を売却して現金化する。
1.被相続人名義の変更
法定相続の場合、相続人共同で相続登記による所有権移転登記を、その不動産を管轄する法務局に申請し、被相続人から相続人である子供2名が取得します。持分は土地建物共に各2分の1です。 2.共有不動産の売却
当該土地建物を売却するときは、所有者である兄弟が売買に関して共通の意識の下で進めていくことが肝要です。依頼する宅建業者や売出価格の決定、購入希望者との交渉や最終の意思決定まで、互いに意見が違うと折角の話も壊れてしまいます。共有不動産の売買は、当事者の意思の合致が前提です。 3.税金の支払い
当該事例の場合、税金の種類は二つに及びます。
一つは、1.の段階で課せられる相続税です。計算の仕方は以下のとおりです。
※平成29年2月現在の税制に基づいています。
・基礎控除額…5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
(平成26年12月31日以前に相続が発生した場合は旧税率)
・基礎控除額…3,000万円+600万円×法定相続人の数
(平成27年1月1日以降に相続が発生した場合は新税率)
(正味の遺産額が基礎控除以下の場合には、相続税は掛りません)
・生命保険金や死亡退職金の非課税限度額…それぞれ500万円×法定相続人の数
1)遺産総額と正味の遺産額の計算例
・預貯金、株式など…1,000万円(株式などは被相続人死亡の日の時価)
・実家の建物…500万円(固定資産税評価額)
・実家の土地…2,000万円(相続路線価で評価した額)
※生前被相続人の住居であった敷地の小規模宅地(330岼焚次砲瞭団蟲鐔四兮霖賄の特例対象に該当する場合は、上記評価額の80%を減額(要申告)。
・控除対象費用…被相続人の借金=0円、葬儀費用=100万円
※1,000+500+400=1,900万円(遺産総額)-100=1,800万円(正味遺産額)

2)相続税の計算例
・平成27年某日被相続人死亡、相続人2名…基礎控除額4,200万円
1,800万円<4,200万円=相続税0円
二つ目は、相続手続き終了後に当該土地建物を売却した場合の譲渡益に対する税金です。これが本件の兄曰く、「平成31年までに売却すれば税金が掛らない」の部分です。
これは、平成28年度の税制改正特例措置として新たに創設された「空き家の発生を抑制するための特例措置」と呼ばれ、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに次に揚げる要件を満たす不動産を売却した場合に、発生する譲渡所得から3,000万円を控除出来るとしたものです。
※特別控除対象不動産の要件
1)被相続人のみが居住していた旧耐震基準構造(例:木造の場合は昭和56年5月31日までに建築または着工された建物)の戸建住宅等であり、相続を機に空き家となったもの。
2)相続開始以後、3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡(売却)するものに限ること。
3)当該家屋で耐震性の無いものについては耐震工事を行って譲渡する、もしくは当該家屋を除却(解体)してその敷地を譲渡する場合のいずれかに限ること。
以上の要件を本件に当てはめて検討しなければならず、単純に平成31年12月31日までに売ればよいというものではないことがご理解頂けると思います。例えば、要件1)は満たしているが、3)はどうするのか。耐震工事を行って売却するとしても、その工事費は相当額に上るでしょうし、また平成26年に相続が開始していることから、2)でいう被相続人死亡の日から3年経過する日の属する年の年末となれば、平成29年、つまり今年の年末までに売却することが必須になります。従って、お兄様の言われることは根本的に間違っているということをお話され、当該特例を利用することを前提とするなら、早急な行動を促す必要があります。
2016.03.06
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すまい給付金制度の延長!消費税増税に対抗できる?
消費税は結局いつから10%になるんでしょう?
ネットで検索してみると、信用できそうなサイト(国税庁とか、税理士事務所とか)には、来年(平成29年)4月1日から10%に増税されると法律で決まっていると書かれています。しかし、確か今年の6月頃に安倍首相が、「税率改定は2年半延期先送りする・・・」と記者発表したような記憶もあり、また、公明党が強く主張していた「軽減税率」についても消費税が10%に上がるから必要だと言っていたように思います。
我が家では、そろそろマイホームの購入を検討しようとしているのですが、国から給付金が貰える「すまい給付金制度」も、確か消費税10%での適用が有利(給付金が多い)であだったように思います。そうであれば、8%のときに買う方が有利なのか、10%になっても問題ないのか、そのあたりも分からなくなってきました。分かり易くご教示下さい。
現行消費税率は、平成31年(2019年)10月1日から10%に改定されることが本年(平成28年・2016年)6月2日の閣議で決定され、同8月24日、「消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置」も閣議決定されました。そして、今秋の国会に於いて改正法案(所得税法等及び地方税法等の一部改正)が審議されます。従って、来年の消費税の税率改定は行われず、同時に「軽減税率の適用(併せてインボイス・適格請求書方式の導入)制度」も同様の時期まで導入延期されることとなりました(情報は平成28年11月3日現在)。

まず、正確な情報として消費税率10%への改定時期についてご確認され、貴殿のご質問に回答致します。
まず、住宅取得を予定している方に消費税率改定に伴う税制等優遇措置について纏めておきます。


1.住宅購入を支援する3つの制度
「住宅ローン減税」「すまい給付金」「贈与税非課税措置」で住宅購入の負担を軽減!
1)住宅ローン減税
住宅ローン減税は、住宅の新築・取得、リフォームなどのために住宅ローンを借りた人について、10年の間、年末のローン残高の1%が所得税から控除される制度です。平成33年(2021年)12月31日までは、消費税率8%または10%の適用を受けて住宅を取得等した方については、控除の対象となる借入額の上限が従来の2,000万円から4,000万円に引き上げられており、それにより所得税からの控除額の上限は10年間で400万円になっています。また、住宅ローン減税による控除額をその年の所得税額から控除しきれない場合は、その差額分を翌年度の「住民税」から控除できます(上限額:年13.65万円)。

※例えば、1年目の年末ローン残高が3,000万円の場合、所得税の控除額は30万円となりますが、その年の所得税が25万円の場合は、差額の5万円を翌年の住民税から控除することができます。

2)すまい給付金
すまい給付金は、自分が住む住宅を取得した人に対して現金が支払われる制度です。新築住宅や中古住宅(個人間売買を除く)を取得する場合に、各々の要件を満たせば住宅ローンを利用する場合も現金で取得する場合も対象となります。また、取得した住宅の持分をもつ人それぞれも、その持分の割合に応じて受け取ることができます。
 ※消費税率8%の場合、年収425万円以下の方で上限30万円
  消費税率10%の場合、年収450万円以下の方で上限50万円
ただし、収入額制限と住民税所得割額制限があります。また、住民税については都道府県によって税率が異なる場合がありますので実際の給付額に差異が出ることがあります。その他、購入する住宅には適用条件があります。

3)贈与税非課税措置
住宅の新築・取得、リフォームなどを目的とした贈与の場合は、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合を対象に、最長で平成33年(2021年)12月31日まで、下表のように一定額までの贈与税が非課税になる措置です。(下表参照)

※特別住宅(家屋の対価に含まれる消費税が10%の住宅)資金の贈与税非課税限度額とそれに係る住宅家屋の取得等に係る契約の締結期間の変更内容
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間耐震等良質な住宅家屋左記以外の住宅家屋
現行・平成28年10月から平成29年9月

改正・平成31年4月から平成32年3月
3000万円 2500万円
現行・平成29年10月から平成30年9月

改正・平成32年4月から平成33年3月
1500万円 1000万円
現行・平成30年10月から平成31年6月

改正・平成33年4月から平成33年12月
1200万円 700万円
※現行制度の変更内容
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間耐震等良質な住宅家屋左記以外の住宅家屋
現行・平成28年1月から平成29年9月

改正・平成29年1月から平成32年3月
1200万円 700万円
現行・平成29年10月から平成30年9月

改正・平成32年4月から平成33年3月
1000万円 500万円
現行・平成30年10月から平成31年6月

改正・平成33年4月から平成33年12月
800万円 300万円
以上をご参考に、住宅の購入時期と適用される制度等を比較してご検討してみては如何でしょう。
2016.12.05
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ずさんな賃貸管理会社への指導監督は?…宅建業と不動産事業
現在住んでいるマンションの管理会社の対応があまりにずさんすぎて、弁護士さんに相談しようと考えましたが、ホントに困っています。
私の住んでいる部屋は2階なんですが、雨の日は外に出ると廊下に水溜まりが出来るほどで、宅配便の方に「水漏れしていますよ」って言われたりするぐらいなんです。排水口のようなものがありますが、まったく流れず、機能していません。自転車置き場の屋根や別の部屋のベランダの目隠し板も壊れていて、修理されていません。郵便受けや玄関ポストもボロボロです。
近くの賃貸専用マンションなど、ペンキの塗り替えや修繕工事をして維持されているのに、このマンションは管理費も支払っているのにゴミだらけです。
先日も、家賃振込先が変更されるとの連絡が振込指定日の3日後に入り、前のところに振り込んだら、振り込んだことの確認が取れないから滞納扱いにすると言われ、電話して事情説明したら、こっちは前日に留守電に連絡を入れているからそちらの落ち度ですよ!って逆切れされました。
きちんと免許や営業許可を与えているならこんなずさんで失礼な業者にしっかりと指導してください。
けど、こんなに訴えてもそちらの答えはわかっていますが、管轄外と聞いて頂けないなら、せめて法律的に何ができるかぐらい教えて下さい。長くなりすいませんでした。
ご相談内容を拝見いたしました。ご心情お察し致します。

ご相談にもご指摘がありますが、まず当該事業者の業務に関する管轄について最初に整理しておく必要がございますので、ご一読のうえご理解をお願い致します(苦情等の申し立て先を間違えると、管轄外という返事しか戻ってこないなど、よくあるタライ廻しを極力避ける為にです)。

先ず、貴殿がご相談頂きました「全日本不動産近畿流通センター」ですが、公益社団法人全日本不動産協会所属会員(宅地建物取引業者)の不動産流通業務(例:不動産売買、仲介、賃貸仲介業務など)に関するICT環境向上や、適切な不動産情報管理の推進、それらの業務に関連する法令等に対する研修などを会員向けに行う組織体です。
また、親団体に当たる全日本不動産協会は、宅地建物取引業に関する包括的な会員管理と、一般消費者に向けた安心安全な不動産取引の知識啓蒙や、宅地建物取引業に関する苦情の処理、解決を行う公益社団法人です。

そこで、ご理解頂かなくてはならないのが、宅地建物取引業の定義です。これには宅地建物取引業法という法律が規定している業務の内容に関するもの、という前提があり、事業者(宅建業免許取得者)が取り扱う業務の中でも、個々に行っている不動産賃貸業=家主業、今回ご指摘のような賃貸不動産管理業、月極め・時間貸し駐車場等の斡旋もしくは管理運営に関する事業などは、宅地建物取引業法の規定にはなく、対象外業務と位置付けられています。
つまり、本件で貴殿が問題としている当該マンションの管理に関する業者側の理不尽な対応については、私共の指導監督権限が及ばず、当該会員に対して直接の注意指導が出来ないことになります(所謂役所的な対応と批判される元はここにあります)。

他方、現段階でこれら管理業を営む事業者を管轄する「公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(東京)」が発足し、国土交通省推進の下で賃貸住宅管理業者登録制度を活用して、広く賃貸管理業を営む事業者(注:宅建業者だけではない)を会員として、その指導管理を行っています。しかしながら、この制度への登録や同協会への加入は現在のところ任意であり、お調べしたところ残念ながらご指摘の業者の登録はありませんでした。従って、同協会の管理下にもなく、同協会も指導は出来ないということになってしまいます。これがすなわち“管轄の壁”というものなのです。

以上の前提を踏まえ、本件について出来る限りのアドバイスをするとすれば、次の通りとなります。
先ず、当該業者は宅地建物取引業の範囲では、全日本不動産協会(以下当協会)の会員です。従って、宅建業の範疇での業務における法令違反や消費者に損害を及ぼす恐れが大きいと判断されるような業務上の行為は、当然に指導の対象となります。また、高圧的な、脅迫にも取れるような言われ方をしたような場合でも、そのことについては、注意指導は可能です。
本件で言えば、当初、貴殿が当該マンションをお借りになられるときに、当該業者の仲介(仲介手数料を貴殿が支払っている)によってご入居され、その時の説明と実際に入居された後の事実が異なっているなど、仲介業務における説明義務違反などが明らかであるなどです。
このような状況が確認出来るのであれば、当該会員の所属する都道府県本部の苦情受付窓口で取り扱えますので、ホームページでご確認の上、ご利用下さい。
次に、今回問題となっている当該マンションの管理に関する件ですが、上述のとおり、現段階では管理業務の監督権限を有する公的機関や公益法人は実質的に存在しません。しかし、貴殿申し立てのとおり管理費も支払っているのに正常な管理を怠っているのが事実ならば、管理会社の債務不履行責任を追及することは可能かと考えます。その場合、これまでの精神的苦痛に対する損害賠償も含め請求することは可能ですし、管理費に見合う仕事がなされていないとして、不当利得の返還請求という方法も考えられるかも知れませんので、弁護士にご相談されれば良いでしょう。ただし、その場合は貴殿だけの問題ではありませんので、可能な限り他の入居者を巻き込んだグループでの対応が宜しいかと思料します(もしかすると、管理会社からの嫌がらせなども考えられる)。

なお、本件の様に、どの管轄にも属さない相談であっても、消費生活センター、住宅関係全般に係る相談窓口など、各行政庁(都道府県庁)にマンションの管理に係る相談を受けて頂ける機関もありますので、一度ご相談されることをお勧めいたします。
2016.11.05
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法定耐用年数経過後の償却資産売却…簿価1円での低額譲渡
弊社(法人)が事業用定期借地権で土地を借り、その上に倉庫を建築して活用してきましたが、借地権の期間が満了しました。土地を地主(個人)に返却するのですが、地上建物の倉庫はまだ十分使用可能ですので、本来は建物を取り壊して更地で返却するのが契約内容でしたが、地主と相談したところ無償なら引き取ってもよいということになり、弊社としては解体費用が発生しないメリットを選択し、帳簿上の備忘価格「1円」で売却することとしました。
しかし、地主の税理士曰く、簿価が1円であっても、時価額が譲渡価格とされる場合があり、特に時価の50%を下回る価格で売買した場合、低額譲渡とみなされ、購入者にも税金が掛ることがあると言われました。地主は当然、自分に税金が掛らないことが条件です。実際にはどうなのでしょうか?
・木造倉庫:建築費1000万円で時価(残存価値)100万円ぐらいです。
本件ご質問は税務に関する内容ですので、実際の取引に於いては税理士、所轄税務署等にご相談の上、進めて下さい。
本稿では、税理士法の関係から、制度(法人税法、所得税法等)の概要を説明するに留め、個別の税務相談に係る回答は出来ませんのでご了承下さい。

まず、貴殿の法人会計処理上において、当該固定資産(木造倉庫)について法定耐用年数を経過し、帳簿価格(簿価)が1円であるところ、これをそのままの金額で地主に売却するとあります。税法においては、平成19年に税制が改正されるまで、有形償却資産の残存価格は、取得原価の90%を耐用年数到来時までの減価償却総額として期間に配分した後の未償却価格(最終は取得価格の95%まで償却が可能)としてきました。しかし、改正法施行後は残存価格が廃止され、有形の償却資産に関しては、その資産が現存する限り最終1円になるまで償却が可能となり、資産が在ることを忘れない(帳簿上無くしてしまわない)為の価格という意味で備忘価格と呼びます。貴殿の場合もその処理に従い、簿価1円として計上しており、今回、地主に対して当該倉庫を1円で売却することを検討されています。
そこで、本件の様に残存価値(=時価)が100万円程度と見込まれる固定資産を1円で売却した場合の問題点を抜き出してみます。

現在の企業会計では、流動資産項目のうち株式や債券、金融派生商品などの金融商品は、時価で評価して損益処理すること(時価会計基準・平成13年3月決算以降)とされていますが、固定資産については適用しなくても良いので、簿価1円で処分しても法律的には違法ではありません。ただし、それは破棄処分の場合であることに注意が必要です。
法人税法上、無償による資産の譲渡も益金(利益)として構成することになっており(法人税法22条2項)、資産を時価より低い価額で譲渡したときの時価との差額についても、同様に解されています。時価と簿価との差額は、購入側では、贈与を受けたものとされ、譲渡側では、時価と簿価との差額が譲渡益として認識される一方で、同額が寄付金として認識されます。このとき、寄付金について損金算入限度額を超える金額が生ずると、その金額だけ課税所得が増加することになります。つまり、法人の場合は、いくらで資産を売却したとしても、時価で売却したとして法人税が計算されるということです。

次に、低額譲渡について解説します。
低額譲渡とは、時価(相場≒実勢価格)に対して著しく低い価格で資産を譲渡することですが、著しく低い価額というのは、概ね時価の50%に相当する額(時価の2分の1)に満たない価額での譲渡を指します(譲渡した資産が棚卸資産であり、譲渡金額が資産の仕入価額以上の金額で譲渡され、且つ通常他に販売する価額の2分の1に相当する金額以上の金額で譲渡される場合は低額譲渡の対象外となります)。

資産の譲渡は、譲渡所得の問題ですので、法人会計上の簿価には関係なく、前述のとおり時価が譲渡の対価とされ、実際に売却した金額(1円)と、時価(100万円)との差額、99万9999円について、貴殿(譲渡側)は益金計上(法人税法22条2項)及び寄付金(法人税法37条)課税の問題となり、低額譲渡を受けた地主(個人)は、一時所得(所得税法7条)があったものとみなされると共に、時価額を取得価格として引き継ぐこととなります。

従って、ご質問にあるとおり、経済的価値の認められる固定資産を簿価で売却した貴殿も、ただ同然で引き取った地主も、互いの思惑通りにはいかないのではないかと思われます。まずは当該倉庫を不動産鑑定士に価格評価を依頼し、適正な価格を把握した上で、税理士等の専門家に相談しながら双方のメリットを検討して取引きされることが肝要です。
2016.10.05
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熊本地震被災地での借地借家関係は?…適用法令に注意!!
4月の熊本地震の被災地に住むものです。
全国から多くのご支援を頂き、県民の一人として厚く感謝の意を表します。
復旧復興はまだまだ始まったばかりですが、被災地でも借地や借家も相当数存在し、借地上の自宅が全壊された方や、アパートやマンションが住めない状態になった学生さんなど、これからの生活に不安と苛立ちを募らせておられます。
そこで質問なんですが、平成7年の阪神・淡路大震災や、平成16年の新潟中越地震などで聞く「罹災都市借地借家臨時処理法」の優先借地権や借家権などの被災者優遇措置は熊本にも当てはまるのでしょうか。すでに地主や家主と今後のことについて揉めている、と言ったような話も耳に入ってきています。
被災した借地人や借家人は何を根拠に話し合いを行えばよいのでしょうか。心構えの為に教えて下さい。

従って、ご質問にあるとおり、経済的価値の認められる固定資産を簿価で売却した貴殿も、ただ同然で引き取った地主も、互いの思惑通りにはいかないのではないかと思われます。まずは当該倉庫を不動産鑑定士に価格評価を依頼し、適正な価格を把握した上で、税理士等の専門家に相談しながら双方のメリットを検討して取引きされることが肝要です。
まず、熊本地震の犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表します。また、被災された多くの方々に心からお見舞い申し上げます。

早速ですが、ご質問の意図並びにご不安な毎日を過ごされている皆様のお気持ちは十分に理解致しますので、現段階(執筆平成28年5月18日)での熊本地震における災害関係法令の状況を整理致します。
現在、熊本地震被災地域に対しては、4月15日内閣府が災害救助法を適用し、生命身体の危険から皆さんを救助するため、国の権限の下で救助活動が開始されました。その後、内閣総理大臣が当該災害を激甚災害に指定するとして、4月25日、激甚災害及びこれに対し、適用すべき措置の指定に関する政令を施行して各省庁が定められた救援措置をそれぞれ講じています。
一方で、これから復興に向かって重要な住宅等、人の住居や拠点に対する災害関連法の適用については、現段階では何も決まっていないのが実態で、災害救助法による仮設住宅(建設型、借上げ型)の手当てがこれから本格化する段階であるということです。

「罹災都市借地借家臨時処理法」(以下旧法という)については、太平洋戦争後に制定された法律で、現在の借地借家法や生活実態に合わなくなっていることなどを理由に、東日本大震災ではその適用が見送られ、現在はその法律自体廃止(平成25年6月)されており、代わって「大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(大規模災害借地借家特別措置法・以下新法という)」が施行されています。新法では、貴殿が指摘された優先借地権や優先借家権に関する部分は除外され、特例として一定期間の被災された借地権者または借家人の権利を保護するものの、旧法下で一方的に地主や家主の権利を制限していた部分を、両者の経済的均衡をはかる内容となっています。
ただし、新法は、今回の熊本地震には適用(政令施行)されておらず、被災地域に対する指定(当該災害を「特定大規模災害」として政令で指定され、適用すべき措置及び地区が指定される)には至っておりませんので、現段階では借地借家法(同法の適用外事案は民法)の規定が適用される中での対応となりますので注意が必要です。
また、5月10日の閣議で熊本地震を「大規模災害復興法」に基づく「非常災害」に指定し政令を施行しました。名称は先の新法と似ていますが、この法律は被災した地方自治体が管理する道路や河川などの復旧工事を国が代行できるようになるなど、主に公共施設に対する復旧段階に係る内容ですので、被災者の住宅等の復興に関するものとは違います。

従って、現在の状況下での被災借地人や借家人の方々の心構えとしては、現行の借地借家法や民法に従っての権利行使が肝要であり、聞きかじりの情報での素人判断は、後に相手方とのトラブルに発展し被災者の主張が認められないことにも繋がりますので、問題が生じたときは弁護士等の専門家に相談されることをお勧め致します。

以下、今回の地震により賃貸マンションが被災し、家主から大規模修繕のための一時退去を求められている被災賃借人が、転居等に係る費用の補填を受けられないのか、というご相談に対する弁護士の見解を例に記しますので、是非ご参考にされて下さい。

「地震により賃貸物件が一部損壊した場合、貸主に修繕義務があります(民法606条1項)。災害による被害は、貸主借主いずれの責任で生じたものではありませんので、民法の原則どおり貸主負担で修繕しなければなりません。
では、貸主に修繕義務があるとして、貸主は代替部屋を用意したり、その費用を負担したりしないといけないのかというと、借主は、貸主が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、これを拒むことが出来ません(民法606条2項)から、その修繕を受け容れる義務があるといえます。
また、損壊の程度からして当該物件の修繕について一旦空き部屋にする必要がある、すなわち入居者の一時退去が必要だということであれば、貸主は借主に対して一時的な退去を請求できるというべきで、言い換えれば、借主はその修繕のため一時的に物件を明け渡す義務があるということが出来ます。
この場合、転居先を手配してあげることが出来れば親切でしょうが、貸主にかような義務まであるかといわれると、そこまではないと考えられます。
また、借主にはこのような修繕受忍義務がある以上、これによって生じる費用については貸主が負担しなくても良いと考えられます。
なお、一時退去中は賃貸物件を使用収益させることが出来ないので、貸主は借主に対して、この間の賃料の請求は出来ません。」
2016.06.06
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思い込みと誤解がいっぱい!?…民泊経営は真剣に!
大阪市内や京都、奈良に賃貸貸家やマンションを所有しています。設備も古くなってきており、賃貸ビジネスも楽ではありません。そんなこの頃ですが、いよいよ大阪市も民泊解禁というようなニュースを目にするようになり、いっそのこと、全ての空室を民泊に活用しようかと考え始めています。
そこで質問ですが、所有不動産物件を民泊に活用するために確認しておかなければならないことや、法律の規制など、全く何も知りませんので、これから民泊を経営しようとする賃貸オーナーに対してご教示をお願いします。
昨年(平成27年)5月、国家戦略特別区域法に基づく国家戦略特区(以下特区)が正式に認定され、特区内の規制緩和により、一定の条件を満たせば旅館業法の適用除外としての宿泊サービスを提供できる可能性が開かれた(外国人滞在施設経営事業)。しかし、この制度を利用した民泊ビジネスが実際に可能になるためには、特区に指定された各自治体が、条例によって旅館業法の適用除外となる条件を定めなければならない。そして10月27日、全国初となる民泊条例案が大阪府議会において可決・成立した。これによれば、6泊7日以上滞在の場合に限り、「対面または映像での本人確認」「宿泊者名簿や外国語での案内表示の設置」「部屋の床面積(25平方メートル以上)」などの条件を満たせば、民泊営業の許可を受けることが可能となるのだが、あくまで特区民泊での話である。
一方、既に民泊施設として2万件を超える一般住宅やマンション、部屋貸しなどが民泊サイト(airbnb、TOMARERUなど)に登録され、実際に宿泊施設として活用されている。これは、上記の特区民泊とは別次元の施設である。
他方、法整備の進んでいない我が国で旅館業法その他の現行法令との兼ね合いや、宿泊施設としての一定水準を備えていない施設なども流通していると言われ、それらが今、違法性を指摘されて問題となっている。現段階での民泊経営は、国内法の中で認められる方法で行うしかなく、単に空き部屋があるからと、賃貸住宅として運用するか、民泊で貸すか、というような単純な選択に馴染むものではないことに注意が必要だ。

1.特区民泊の経営可能エリア
現在、特区民泊が可能なエリアは首都圏(東京都、神奈川県、千葉県千葉市・成田市)と関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)だけである(福岡市、北九州市においては、現在民泊許可の前提となる区域方針の基本的事項に「外国人の滞在に適した宿泊施設の提供」が追加されたが、具体的な施策は未定)。

2.特区民泊の許可取得可能エリア
上記の経営可能エリアであっても、特区自治体が民泊について区域計画を策定し内閣総理大臣の認定を受け、厚生労働省令、その他区域内の民泊条例等の要件をクリアして初めて運用に乗り出せるということだ。従って、特区エリアであっても、そもそも自治体が区域計画を策定しなければ事は進まず、現にこの手続を行っている区域自治体は東京都大田区と大阪府の一部(大阪市、豊中市、堺市、東大阪市、高槻市、枚方市は保険所設置市であるため、大阪府とは別に独自に民泊条例を整備する必要がある。また、大阪府内でも吹田市、池田市、交野市、松原市は民泊許可の予定は無いとしている)の自治体だけである。なお、大阪市が平成28年1月15日の市議会で条例案を承認・可決したが、効力発生期日(市長が定める施行日)を本年10月以降とする付帯決議付であるため、実質的には運用開始が未定である。

3.特区民泊の物理的要件
大阪府下の民泊許可要件としては、建築基準法上の規制が前提で、市街化区域のうちホテル・旅館が建築可能な地域(住居専用地域と工業地域、工業専用地域は不可。第1種住居地域は延べ床3000岼焚爾撚帖ただし、能勢町、守口市、大東市、忠岡町、泉佐野市については、工業専用地域以外で可)とし、一室当たりの床面積は25岼幣紂癖豹通明僉砲蚤羹蝓ν畆次淵罐縫奪肇丱慌帖法κ惱蝓淵罐縫奪肇丱慌帖法洗面設備(ユニットバス可)・寝具・テーブル・イス・収納家具・調理器具・設備・清掃用具・冷暖房設備を装備することとしている。また、貸室の清掃、外国語を用いた案内と緊急時の情報提供、利用者の対面による本人確認(外国人の場合は旅券の呈示と写しの保管)、近隣への説明と苦情等相談窓口の設置、ゴミ処理(事業系扱い)の措置などを講じる。

4.特区民泊の運用条件
ここが運用上の最大の難関である。特区民泊では利用者の滞在日数を7日(6泊7日)以上と定められ、それ未満の宿泊に対応することは出来ない。

5.特区以外での民泊の経営
では、特区に指定されたエリア以外での民泊経営はどうすれば良いのか。
これは本邦一円に旅館業法が適用されるのであるから、事業者は旅館業法3条の許可を得なければならない。同法では、ホテル、旅館、簡易宿泊所、下宿に分類し、それぞれに運営、構造上の要件を定めている。また、農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備促進に関する法律(農山漁村余暇法)に規定される農林漁業体験民宿として農林漁業者が営む施設についても、旅館業法の適用を受ける。
つまり、特区以外もしくは区域計画の定められていない特区において、特区民泊に準じた施設の運営を行うためには、最低限簡易宿泊所としての営業許可を取得する以外、全て違法となることを理解しておかなければならない。
2016.3.05
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民泊=空き家利活用!…国内法の盲点とビジネスの拡大
今、巷でブームを起こしている外国人旅行客を民間の住宅にステイさせるビジネス「民泊」について詳しく教えて下さい。
私も現在、親の住んでいた住宅を相続し、管理に大変な思いをしています。場所が良ければ売却も考えますが、如何せん、ど、がつくド田舎で、過疎化が急速に進んでいる地域の普通の一軒家です。地元不動産業者に賃貸を相談しても、まず借り手は現れないだろうと言われ、管理委託に月3,000円(空気循環と簡単な清掃、見回り程度)も、ずっと払っています。これを民泊になら使えるのではないかと考え、可能なら即実行に移したいと思い相談いたしました。
民間空き家等、個人法人の別なく所謂旅館やホテルなど、旅館業法に規定される基準※を満たさない建物及び建物の一部を有料で宿泊の用に供することは法律で規制されています。厚労省は2014年7月、全国各都道府県に対し、旅館業法の順守を求める通知を出したが、省内では「『民泊』は旅館業法ができた当時(1948年)は想定していなかったサービス。法律そのものを改正する可能性もある」との声も出ているなど、観光庁も交えて実態調査を進めており、2016年度中に対応の方針を出す予定です。

一方で、この民泊をビジネス化し、貸し手と旅行者を繋ぐ仲介事業を世界中で展開しているアメリカ企業が日本に現地法人を立ち上げ、国や政府のあわてぶりを余所にどんどん業績を伸ばしています。
2008年創業の米Airbnb(エアビーアンドビー)社のサービスがそれで、インターネットを通じて宿泊場所の提供者(ホスト)と旅行者(ゲスト)を引き合わせるビジネスを展開。今では対象は190カ国、3万4千以上の都市で同様のサービスを拡大中です。同社によると、日本の部屋の登録件数はこの1年で3倍以上に急増。本年8月現在、約1万3千物件が登録されているとしています。

「民泊」の料金体系は、概ね1泊1万円前後と設定され、都内のエアビー代行会社の収益表によると、東京都渋谷区で一般賃貸契約の場合の家賃が12万7千円のマンション約30平米を民泊に提供すると、月の売り上げは36万円が見込め、代行会社への手数料等の14万円を控除した22万円がホストの利益になるといい、高い利益が期待できるため、資産運用としても注目されはじめています。
また、民泊の関連事業も続々と登場してきています。当然、貸し手のホストが投資目的のオーナーや転貸人である場合、該当物件の近くに居住しているとは限らないため、ゲストが利用した後の清掃、備品の補充、室内の修繕などホスト向けサービスを引き受ける企業や、ゲストの身の回りの世話(鍵の受け渡し、通訳、食事の提供、近隣の施設への案内など)を行う業者も現れてきています。しかし、旅行者を有償でガイドする通訳案内士は不足(今年4月時点の登録者数は1万9033人。この10年で倍増したものの、「訪日外国人の急増に対応できる数ではない」(観光庁))しており、健康食品の大量購入を促したり、誤った日本の歴史や文化を紹介したりする無資格の「闇ガイド」が横行(毎日新聞記事)。政府は「旅行者の満足度を低下させるだけではなく、日本の信頼や印象形成にも悪い影響を及ぼす」(太田昭宏国土交通相)とし、訪日客の多い中国当局と連携して調査する準備を進めているような実情です。

そのような中、現行法令では前述の旅館業法が盾になり、民泊代行業者やゲストの期待と裏腹に、国内でのホストに対する取り締まりが厳しさを増してきています(昨年5月、長野県内の別荘を旅行者向けに提供するヤフーの新規事業が旅館業法に抵触することを理由に中止。東京都足立区では、部屋を有料で貸していた英国人男性が、警視庁に旅館業法違反(無許可営業)容疑で逮捕など)。ただ、政府与党の中でも、東京オリンピックを見据えてこのビジネスに期待する声も出ています。昨年4月には旅館業法の適用を除外する特区法が施行され、7日〜10日以上の滞在で、換気や排水などの設備が整っていることなどを条件に「民泊」を可能にするというものです。対象エリアは東京圏(23区の一部、神奈川県、千葉県成田市)や関西圏(大阪府、京都府、兵庫県全域)などで、宿泊期間などの詳細は、各地方自治体の条例で規定するとされました(本年8月末までに条例を成立させた自治体は無し)。

以上、民泊を巡る現状は、正規のビジネスと言えるまで完成されておらず、法の網を潜るというイメージが付きまといます。一方で、本年度中に日本を訪れる外国人観光客の数は1900万人を超えると見込んでおり(観光庁)、観光立国と外資獲得に大きな期待を寄せています。しかし、国内正規の旅館、ホテルの絶対数が足りないことが、邦人の旅行や出張にも支障が出始めており、特区の活用や根本的な法整備に対する早急な対応が迫られています。それら一連の現状を踏まえ、法令順守のうえでのビジネス展開が待たれますので、現在のところは、旅館業法の基準を満たした民家のみ、正規の民泊施設として提供されるとしか言えませんので、安易に活用されることに注意が必要です。

※旅館業法では、フロントの設置や寝室の面積など必要な施設について一定の基準を満たし、都道府県知事の許可を得なければならない。又、食事を提供する場合は食品衛生法上の許可も必要とされる。

Airbnb(エアビーアンドビー)社
Airbed(簡易ベッド)とBreakfast(朝食)が社名の由来。創業者がアパートの空きスペースに簡易ベッドと朝食を付けて貸し出したところ人気を呼んだためビジネス化した。ゲスト数累計2500万人以上。2014年5月に日本法人を設立。
2015.11.05
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仲介業者を排した直接取引は?…不動産会社の値打ち
買主、売主とも一般人の住宅地の土地売買ですが、不動産業者の仲介はありません。買主が住宅の建築設計にすぐ取り掛かるため、契約日と手付解除日を同じ日に設定したのですが何か問題はありますか。当方が買主で、土地の引渡しまでの期間が半年ほどもあるので、住宅建築の設計及び建築業者と請負契約を結んでから、売主に解約されては困るという理由です。
つまり、その間の時間と、労力が無駄になるからであり、それに建物に関しては、売主に損害賠償は請求できないと思いますので、手付金により解除をされることを避けたいのです。又、不動産業者の仲介は手数料が高く、業者を介在させない取引の方がお互いにメリットがあり、契約さえ間違いなく出来れば問題ないと思います。
不動産売買において、一般人(宅建業者の介在が無いということ)同士の直接取引を行うという契約で、契約解除に関し、相手方を拘束する特約についてのアドバイスを求めておられるものと推測いたします。

売買契約において宅建業者が売主もしくは仲介者として介在せず、当事者同士が直接契約行為を行う場合は、宅地建物取引業法の適用は受けませんので、契約締結時期や手付金・違約金の額の制限や手付金の保全措置等買主の保護に帰する規定や業者の優位性に対する規制はありません。従って、基本的には私法である民法の規定に沿って契約を進めていくことになります。

さて、本件ご相談に対する考察ですが、当該契約は土地の売買であり、買主が契約後すぐに住宅の設計に取り掛かり、ほぼ契約解除をすることは無いと思われること及び、買主はその後の行為が進む間も土地引渡しまで相当期間があることから、手付金による解除は出来る限り避けておきたいのであり、契約日同日中と定めた契約としたものと承ります。

この場合、解除の前提としては法律上の期間の計算によれば、手付金による解除権が行使できるのは当日の午前零時まで(午前零時丁度は含まない)であり、それまでであれば当事者は契約解除が出来ると解されますが、その意思表示は相手方に到達したときに効力を生じます。つまり、何らかの手段(電話、メールなども有効)によって相手方に到達すれば解除の効力が認められます。しかしながら、よほどの理由が発生しない限り、契約日の当日の数時間の間に契約解除をなすことは考えられませんから、貴殿の思惑通り手付解除特約は事実上形骸化することになります。

一方、当事者の合意があれば、このようなタイトな期間を定めた特約も有効に成立はしますが、問題は手付金を付した契約で特段の定めが無い場合、不動産の契約においては、解約手付として扱われ、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは手付金の放棄又は倍返しで解除権を行使できますので、本件手付解除期限以降であっても、当事者の一方に履行の着手が無ければ訴訟等になった場合に、本件のごとき極端に短い解除期限を定めたような場合、手付解除が認められる余地が残ります。
なお、不動産の売買契約における履行の着手とは、契約の本旨(この場合は売主の引渡し、買主の代金支払い【代金の一部も含み手付は除く】)に基づく行為を指し、買主が住宅建築の設計を依頼したことだけでは履行の着手とは認めがたいと思料します(例えば買主において設計段階で思ったような家が建たないことが分かったとか、予定以上に費用が掛り建築を断念せざるを得ないなど不確定要素がある場合、契約の要素の錯誤を主張し得る余地もあります)。

本件では、すでに契約行為が終わっているのであればことさら、これから契約を行う予定であれば、手付金による解除は出来ない旨を定め、契約を解除する場合の約定を別途定めるなどして対応することをお勧めします。又、一定期間(例えば買主の設計が終了するぐらいまでの期間など)手付解除期限を設けるなどすれば、万一訴訟等に至った場合でも特約の有効性を否定される可能性が低くなると考えます。

又、契約当事者は互いに契約解除について公平な関係にありますので、貴殿の位置が買主であっても解除権の行使に関する期間の計算及び、契約途中の売主側からの解除についても、貴殿が契約の履行に着手したと認められる行為が無い限り、不安定な状態が続くことは前述したとおりです。

そこで、貴殿としては代金の一部(中間金等)を早めに売主に支払い、又は建築確認申請を行うなど、契約の履行着手を顕在化させることや、手付金による解除が出来ない旨の特約を付し、違約金を少々高めに約定(一般的には手付金相当額もしくは代金の10〜20%程度ですが、例えば30%とか)するなどして契約の拘束力を高めることが有益かと思料します。なお、建築確認申請、確認取得行為は、単に設計依頼とは異なり、買主の土地利用目的の中心ですので、買主の契約履行行為と判断される公算が高まります。
他方、売主の協力を得られるなら、前記中間金の支払いと同時に所有権移転仮登記を設定することにより、更に契約の履行を確実なものに近づけることが出来ます。

ご質問の部分は、これらをご参考にされて書面に特約することですが、不動産取引には契約解除に関することだけではなく、対象不動産の法的な制約、予測出来ない瑕疵や不測の災害に対する危険負担、当事者における事情変更など、様々な問題が絡みます。単に手数料を削減することが当事者の利益であるとは考えず、信頼できる宅建業者に仲介を依頼されては如何でしょう。
2014.11.05
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不法占拠車両の撤去…簡単ではない所有権の壁
私有地内に、ナンバープレートの無い自動車が投棄されて困っています。警察に相談したのですが、事件性が無く、民事に介入は出来ないと言われ、自身で撤去するように言われましたが、勝手に処分してもいいのでしょうか。
又、車両の所有者を調べる方法もあれば教えて下さい。
法律的には不法占拠車両を撤去するためには民事裁判を提起し、強制執行による必要があり、不法占拠といえども貴殿が勝手に撤去することは許されません。因みに、持ち主の確認には放置自動車が軽自動車以外の普通車両であれば、「登録事項等証明書」を最寄りの運輸支局(旧称陸運局)で取り寄せることができます(道路運送車両法第22条)が、それにはやはりナンバープレートの番号が必要ですから、本件では持ち主が不明であるとして続けます。

先ず、放置車両ですが、ナンバープレートが無い場合、普通自動車又は軽自動車は法律上動産として取扱います。ご質問には警察の協力が得られなかったとありますが、私有地に不法に動産を投棄しているのですから、廃棄物処理法の不法投棄罪として警察に刑事告訴(所有者が判明しない場合には被疑者不詳として告訴)することもできます。捜査当局の捜査によって所有者が判明する場合もありますので、これも一つの方法ですが、警察が放置車両を撤去してくれるわけではありません。

次に、所有者が分からず、車両登録も無い場合、当該車両を無主物(所有者の無い)の動産として貴殿自身が占有する方法があります(民法239条1項)。そのうえで貴殿が当該車両の所有者となり、自己の所有物として処分するという方法です(撤去費用は当然自己負担です)。ただし、後日になって所有者が現れ、トラブルが発生する可能性はありますので、上記のいずれの場合においても、自動車の放置の状況を写真に撮っておき、証拠として保存することが必要です。いずれにしても、法律の専門家に相談することが肝要です。

一方で、所有者が判明したのに撤去に応じない場合の手続きを記しておきます。
この場合は、訴訟を提起し、勝訴判決正本を債務名義として動産の競売を申し立てます。しかし、裁判所が、換価価値が無いと判断した時は、競売手続きが取り消されます。競売が認められれば貴殿自身が競落すれば貴殿の所有になりますので、撤去は容易です。
競売が認められなければ、既に言い渡されている勝訴判決に基づいて駐車場明け渡しの強制執行を行うことになります。自動車の価値が認められない場合であっても、自分で勝手に無価値と判断して処分してはいけません。
強制執行は執行官の判断で、執行官が私有地不法占拠明け渡しの強制執行実施日において当該車両を「無価値」であると宣言し、その「無価値物」の処分を債権者に委ねる、という形を取るのが一般的です。

自動車競売で処理できない自動車については、明け渡し執行の際に、駐車場の明け渡しに伴う残置物となり、ゴミとして処理することができます。

因みに、貴殿所有あるいは管理している駐車場(土地)に、長い間、勝手に自動車が止められていた場合、駐車場の所有者としては、当該車両の撤去と駐車場使用料相当の損害金を求めたいと思うのは当然です。
その場合、その車両に所有権留保が付されている(ローンで購入した際に、支払が終わるまで担保として車両の所有権を留保し、完済した時点で所有権を購入者に移転させる方法)とき、所有権留保を付けているファイナンス会社等(以下、留保所有権者)に対して車両の撤去等を要求することができるかについて、最高裁判所は、駐車場所有者が留保所有権者に対して、不法に放置された車両の撤去等を求めた事案で、平成21年3月10日の判決があります。
  1. 留保所有権者は、残債務弁済期が到来するまでは、車両が第三者の土地上に存在して土地所有権の行使を妨害しているとしても、特段の事情がない限り、当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはない。
  2. 残債務弁済期が経過した後は、留保所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない。
  3. 残債務弁済期の経過後であっても、留保所有権者は、原則として、車両が第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を知らなければ、不法行為責任を問われることはなく、妨害の事実を告げられるなどしてこれを知ったときに不法行為責任を負う。

この判決によれば、「残債務弁済期」が経過したかどうかで、留保所有権者に対して車両の撤去を求めることができるのかが決まることになります。
この「残債務弁済期が経過した」とは、当該車両の購入者が留保所有権者への支払いを遅滞し、留保所有権者が、「支払が遅れているのでこれからは分割払いではなく、残額を一括請求します(期限利益の喪失)」という通知を出した後のことを言います。
留保所有権者は、この通知を出せば、担保にしていた自動車を回収したり処分したりすることができる権限(権能)を持つことになります。

最高裁判所は、残債務弁済期経過後は、留保所有権者は担保として車両を確保しておくだけではなく、実際に処分するなど強い権限を持つのだから、第三者(この場合は駐車場所有者)に迷惑をかけた場合にも責任をとるべきであると判断したと思われます。
ただし、駐車場所有者が駐車場使用料を請求できるのは、留保所有権者が、当該車両の駐車場不法占有を知ったときからとしていますので、早めの告知が有益となります(最高裁判所HPより)。
2014.04.05
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容積率移転取引…土地を売らずに利益を得る方法!?
都心の商業地に先祖代々住んでいます。
この辺りは、ケンペイ率が80%容積率は800%あり、固定資産税も相当高額で困っています。土地活用といっても自宅ですから、ビル化するか、土地を売るかしか思い当たらず、ビルを建てるにしても資金的な問題が立ちふさがって、前へ進みません。
先日、不動産コンサルタントの方に相談したところ、余っている容積率を売買出来るような話になり、びっくりしています。そのようなことが出来るのでしょうか?又、税金や登記はどうなるのでしょうか?
容積率の移転とは、都市計画で定められた容積率(建物の敷地面積に対する総床面積の最高限度を定める割合・指定容積率)のうち、未利用の部分を他の土地に移転することを言います。その対象となる権利を、一般的には「空中権」と呼び、一定の条件の下で、容積率を移転出来ることで(実際は移転先の容積率の割り増し)、対象土地に係る法的制限を超えて高度利用が可能となります。

一方、土地の上空又は地下の一部を利用する契約により、設定する空間の上下の範囲を定めて土地を独占的に使用する権利を設定することが出来ます。その法的な形式によって「区分地上権」または「区分地上権に準ずる地役権」に分類され、上空に関する区分地上権も「空中権」と称する場合があります。

【容積率移転による空中の利用】
容積率の移転を可能にするため、現行法制度では次に挙げるものがあります。

≪建築基準法≫
・一建築物一敷地の原則の適用に合致
・用途上不可分の扱いとされる建築物
・総合的設計による一団地の認定
・連担建築物設計制度(注1)

注1.複数敷地により構成される一団の土地の区域内において、既存建築物の存在を前提とした合理的な設計により、建築物を建築する場合において、各建築物の位置及び構造が安全上、防火上、衛生上支障ないと特定行政庁が認めるものについては、複数建築物が同一敷地内にあるものとみなして建築規制を適用します。

≪都市計画法≫
・特定街区
・再開発地区計画
・容積適正配分型地区計画(注1)
・特例容積率適用区域制度(注2)

注1.容積適正配分型(地区計画)は、平成4年の都市計画法の改正で創設されたもので、地区計画の定められた地区内の、ある区域から別の区域へ容積率を配分(移転)することを認めた制度です。
「地区計画」とは、既存の他の都市計画を前提に、ある一定のまとまりを持った「地区」を対象に、その地区の実情に合ったよりきめ細かい規制を行う制度です。区域の指定された用途地域の規制を、強化、緩和することができ、各街区の整備及び保全を図ります。

注2.特例容積率適用地区とは、市街地の防災機能の確保等のため、 火災の際の延焼防止等の機能を有する屋敷林や市民緑地等の未利用容積を移転することにより、これらの防災空間を確保しつつ、建築物の共同化や老朽マンショ ンの建て替え等を円滑に進めるため、平成12年(2000)の建築基準法・都市計画法改正により商業地域を適用対象とする「特例容積率適用区域」として創設。平成16年(2004)の法改正で第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・工業専用地域以外のすべての用途地域に適用が可能となり、「特例容積率適用地区」の名称に変更されました。

つまり、建築基準法に規定される制度の下においての容積率の割り増し又は移転若しくは、都市計画法の制度を利用した割り増し又は移転が、前述した現行法制度の下で可能となっているということですから、地域地区、用途に関係なく、自由に余剰容積率を売買出来るということではありません。

そのうえで、貴殿の所有土地において余剰容積率の移転が出来るとするなら、例えば、当該土地の存する地域が都市計画法により指定された地区計画区域内に在って、容積率の移転を可能とした容積率特例制度を地区計画において定めている場合などが考えられます。その他、隣接する敷地の建物建築に伴い、貴殿所有建物と一体的取り扱いが可能なビルを新たに建築し、上述の建築基準法の適用を受けて行う総合的設計により一団地認定が受けられる場合なども、余剰容積率を移転出来る条件となります。

【空中権の公示方法は】
余剰容積の利用権は、我が国においては現行法上の明文規定はなく、法制度としても社会的に認知されておらず、完全所有権と比して、担保価値や公示力に劣ることが指摘されています。
この権利形態は、物権(建築不作為の地役権・民法第280条、又は区分地上権・民法第269条の2)とする場合と、債権として取り扱う場合があります。
一般的には、債権として取引し、公示の段には地役権を設定することが用いられているようです(東京丸の内1丁目特定街区など)。

他方、税務的には、余剰容積率の売買はその利用権の売買であるとされ、私人間の契約による債権と解されています。
しかし、債権は権利の保護などの点で不安定であるため、実際の取引では、私法上認められている各種権利が応用又は適用されていることは前述したとおりですが、いずれの契約形態を採ったとしても、容積率を移転する側では一定の容積率以上の建築物を建築することができないという効果が生じ、容積率の移転を受ける側では基準容積率を超える建築物の建築が可能となるといった効果が生じることに変わりはないから、容積率移転の法的性質は、土地の所有権又は借地権に基づく使用権の一内容としての建築権のような権利の移転であると解すことが出来ます。
そして、我が国の私法上、このような建築権を土地の所有権又は借地権から切り離し、独立した処分可能な財産権と構成することは困難ですので、譲渡という法的形態により取引が行われたとしても、その実態は譲渡先に利用権を与えるものであり、それは土地の一部の貸付けに準じたものと解すべき、と言うのが国税庁の見解です。従って、現行法下での余剰容積率の売買対象となる利用権の税法上の性質は、容積率の移転を受けることによって、その土地の利用価値が増加するという効果が生ずるから、容積率移転の対価は「土地の取得価額」として対応しています。
2013.11.05
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『がけ条例』って知ってる?…案外見落とす条例による規制
仲介業者を介して、住宅建築の為に土地の購入契約を行いました。
手付け金及び仲介手数料は支払い済み、残金決済と登記は終わっていません。

土地が決まったので、ハウスメーカーに現地調査を依頼したところ、当該土地は傾斜地に位置しており、隣地との高低差が2m以上あるため、がけ条例に抵触すると連絡がありました。
建築自体は可能であるが、隣地から高低差の1.5倍の距離を空けた位置からでないと建築が不可とのことでした。

しかしながら、土地の売買契約時の重要事項説明では、そういった話は一切無く、もちろん契約書にもがけ条例による建築規制があるというような記載もありません。仲介業者にその旨を連絡をしましたが、「建築自体は可能なので問題はない」、家の基礎を高くするなどすれば、規定通り空けなくても建築可能との回答で、特に責任は無いような口ぶりでした。
しかし、判例などを見てみると、がけ条例による建築規制については重要説明事項で有り、説明が無い場合は、契約解除や賠償金の請求などが出来るとありました。

この土地については気に入っているので、契約解除という手段はとりたくないのですが、実際には予定の建築費をかなりオーバーしそうですし、そういった判例がある以上何も無しというのも納得出来ません。

仲介業者にはどういったことが請求できるでしょうか?又、売主に対しては、何かしらの請求は出来るのでしょうか?
参考:兵庫県建築基準条例・昭和43年3月25日条例第32号・追加[昭和53年条例19号]
(がけ地の安全措置)
第2条  がけ地[がけ(地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地をいう。以下この条において同じ。)を有し、又はがけに接する建築物の敷地をいう。]に 建築物を建築する場合においては、がけの表面の中心線から、がけ上及びがけ下の建築物までの水平距離は、それぞれのがけの高さの1.5倍(がけの高さが2メートル以下の場合又はがけの地質により安全上支障がない場合においては、1倍)以上としなければならない。ただし、がけが岩盤若しくは擁壁等で構成されているため安全上支障がない場合又は建築物の用途若しくは構造により安全上支障がない場合においては、この限りでない。
2 がけの下部に擁壁等がある場合においては、その擁壁等の頂部に接し、がけ下の建築物の敷地があるものとみなして、前項本文の規定を適用する。
3 がけ上の建築物の敷地には、地盤の保全及びがけ面への流水防止のため、適当な排水施設をしなければならない。

がけ条例の存在、建築規制については重要事項として重要事項説明事項に入りますので、仲介業者には説明義務違反があることになります。
従って、この重要事項説明義務違反は仲介業者の債務不履行あるいは不法行為ということで損害賠償責任を生じさせます。

参考判例:がけ条例が存在することの説明を受けなかったとして売買契約の解除が認められた事例(東京地裁判決・平成23年4月20日)
本判決は、売主は宅建業者であり、本件売買契約の締結過程において、本件がけ条例の内容及び適用範囲について説明すべき売買契約上の付随義務があるのにこれを怠ったもので、本件土地にはがけ条例に基づく法律上の制限があり、民法570条の隠れた瑕疵に当たるとして、売主業者に対し、売買契約の解除又は不法行為に基づく損害賠償と原状回復すべき損害額を、総額一億円超とした事例である。
宅建業者は、依頼者の取引目的が達成できるよう、不動産取引の専門家として、必要な調査・説明・助言をしなければならず、特に法令制限については、高度の注意義務を負う必要があり、本事例のように怠れば破格な賠償を背負うこともあろう。

売主については瑕疵担保責任が問えるケースではないかと思います。又、瑕疵担保責任として解除(瑕疵のために売買の目的を達しない場合)あるいは損害賠償請求することも可能と考えられます。

本件については、貴殿が契約解除を望んでいないとのことですから、売主に対する瑕疵担保責任としての損害賠償請求(民法570条・同566条1項)をすることが考えられますが、問題はどこまでが「損害」なのかということです。

建築規制のある土地への建築ということで、通常とは違う工事をしなくてはいけなくなったことから、余分にかかることになった工事費用という類の損害については認められると思いますが、本件売買契約の解除をしないで、それ以外の損害について賠償責任が認められるか微妙です。

他方、仲介業者に対してですが、前述の債務不履行あるいは不法行為を根拠とする損害賠償請求が可能ですが、これについても「損害」がどこまで認められるかが重要な争点となります。

仲介業者に対して支払った手数料相当額の返還というのが、和解で折り合いをつけるひとつの基準となると思いますが、買主の視点からだと本件売買(がけ条例により意に沿わない結果となっている)によって生じた損害を強く主張して、仲介業者から仲介手数料の返還程度の譲歩を引き出すというのが現実的な選択肢ではないかと思います。
2013.04.05
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祝!宅建業開業!…確定申告は青色?白色?どっちがお得?
昨年(平成23年)の7月に宅建業の免許を取り、起業したばかりの者です。開業届は今もまだ税務署には出していません。申告に当っての状況は以下のとおりです。
  • 1)H23年1月から3月まで、前の会社からの給与収入があります。約85万円で源泉徴収です。
  • 2)昨年起業するのに、弁済業務保証金分担金などを含めて約200万円使っています。
  • 3)昨年の収入は1)給与所得以外は有りません。しかしながら営業経費、広告費、車代、事務費などの経費はそれなりに使っています。
  • 4)税務署で、「今年は白色申告しか出来ない」と言われました。起業後3ヶ月以内に開業届を出さなかったからだそうです。
そこで次の質問をさせて頂きます。
  • Q1:事業収入がゼロだったので、白色申告はせずに今年は確定申告だけすれば良いのでしょうか?
  • Q2:かかった起業費用200万円を将来に渡って経費として申告し償却するには、今年の確定申告では何をしたらいいですか?
  • Q3:起業して(H23年7月)から12月末までの経費(200万円)は、去年の収入がゼロでも、申告しておいた方が良いですか?
  • Q4:昨年会社を辞めた後、任意継続の社会保険を使っているのですが、それは控除の対象になりますか?
  • Q5:昨年6月に結婚しました。妻の収入はありません。今年度の控除の足しになりますか?
    又、来年分はその収入に関係なく、青色申告をした方がベターでしょうか?
宜しくお願いします。
まず、平成23年分は以前お勤めの会社からの給与所得のみ確定申告し、源泉徴収されている税額の還付を受けられるのが、手続きも簡単で良いかと思います。
その際に、併せて「開業届」「青色申告承認申請書」も税務署に提出してください(3月15日までに提出すれば翌年分は青色申告が可能となります)。

起業費用は、白色申告でも開業費として(プールしておき)平成24年以降の償却が可能です。但し、将来返還される保証金等は資産であり、償却することはできません。

次に、平成23年の事業は収入がゼロということですので赤字ですが、白色申告では事業の損失を翌年以降に繰り越すことができません。そのため、200万円経費の内、開業費に分類できるものは開業費に含めた方が有利になります。

任意継続の社会保険料や奥様の配偶者控除等は、所得金額が生じておれば所得控除が受けられますが、残念ながら平成23年は基礎控除以下の所得のようですので、今回の申告では控除することができません(還付税額も増えません)。
なお、奥様に給与を支払う場合、青色専従者給与として経費にすることができますが、その場合には同じく3月15日までに「青色専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があること、また配偶者控除が受けられなくなることに注意してください。

青色申告と白色申告では、税金計算のうえで青色申告にはいろいろな特典が与えられており、その分、青色申告では取引の記帳が求められています。取引の記帳といっても、白色申告で申告する際にも必要となる計算も同じであり、実際には記帳の手間はさほどでもなく、特典の方が大きいと考えます。
特に、事業の損失を繰り越せるのは青色申告の場合であり、売上(利益)が十分でない開業間もないころこそ、青色申告のメリットがある、とも考えられます。
なお、上記で説明しました、「青色専従者給与の支給」に関しては、配偶者控除(38万円)が受けられなくなることとの関係上、必要に応じて届出をされた方がいいかもしれません。

青色申告に関し、詳しくは国税庁HPをご参考にされて下さい。
2012.12.05
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重要事項説明書に売主の記名押印は必要?…業者はプライドを持て!
最近の重要事項説明書には売主の記名押印欄があるのですね!?いつのころからか、大手不動産会社が使用する宅建業法35条規定の書面の雛形に、物件売主の記名押印欄が付加された書式を目にするようになりました。これは業界としての傾向でしょうか?
そのような形式を採用している書式雛形は最近増えているようですね。それはそれで理由があるものと思いますが、当近畿流通センターではその形式を採用しておりません。しかし、それもまた正当な理由が存在するからです。

まず、重説書面の根拠たる宅建業法(以下法)第35条第1項には「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、取引主任者をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第5号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない」と規定されています。この長文を読み解くには、「誰が?誰に?何に関して?いつ?どのような方法で?どうする?」を明確にすることです。
つまり、本条では「(誰が)宅地建物取引業者が、(誰に)取引業者の相手方等に、(何に関して)当該宅地又は建物に関して、(いつ)契約が成立するまでに、(どのような方法で)規定説明事項等を記載した書面を作成して、(どうする)取引主任者にその書面を交付させ説明させる」と、要約できるのですが、ポイントは「取引の相手方等」を当事者双方ではなく、それぞれの取引の種類と態様に応じた当事者のうち、「買主」と「借主」に限定している(取得し、又は借りようとしている者)という部分です。従って、法律に規定された業務を行うにあたり、規定に従って書式を整備するという近畿流通センターの考え方から、ご質問の「売主の記名押印」は本書面において不要であるという理由です。

なお、売主に記名押印を求める考え方が、同条の「各当事者に対し」という部分で捉えているなら、条文解釈の間違いは明らかですが、一方で、本条の趣旨は、売主の所有物件に関する情報を契約前に理解させる意図があるのですから、説明内容に売主の確認を得ておくという意味は理解できないではありません。しかし、それは本書において求められている訳ではありません(例えば、物件状況報告書や売主告知書などで機能する)ので、重要事項説明書面における記名押印の意味は、売主と買主では違うということに着目すべきと考えます(殆どがそのように理解していないと思われます)。従って、法37条書面(契約書)は当事者双方が同位同列ですから、その規定は当事者双方に責任が及ぶのは当然ですが、重要事項説明書では、たとえ売主の記名押印があっても、記載事項の責任は交付義務を負う宅地建物取引業者に向けられ、「売主も確認している」の言い訳には使えないということに留意してください。
2012.01.31
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「石綿・アスベスト」含有建材の使用は無し!?…ほんとは怖い使用実態の話
当方、複数棟のビルを所有していますが、最近そのうちの1棟を売却した際に、仲介不動産の書類に「アスベスト調査記録の有無」という欄があり、売主(私)はアスベストの調査を行っていない旨と、存在の不知という内容で買主に説明を行っていました。勿論、そのとおりなのですが、少々気になり調べてみますと、かなり最近までアスベスト含有建材が一般的に使用されていることや、昭和50年までは耐火被覆に石綿吹きつけを行っていたことも分かりました。所有するビルは昭和50年代のものであり、40年代のものもあります。今後、売却や解体などを行う場合、「知らない」だけで許されるものなのか。また、実際のところ、世間ではどのくらいの建物にアスベストが使われているのか、教えて欲しいのです。
アスベスト(石綿)は、天然にできた鉱物繊維で「せきめん」「いしわた」とも呼ばれています。石綿は蛇紋石族と角閃石族に大別され、6種類あります。そのうち、わが国で使用された代表的な石綿は、蛇紋石族の白石綿(クリソタイル=世界中の使用石綿のうち90%)と角閃石族の茶石綿(アモサイト)、青石綿(クロシドライト)です。石綿は、極めて細い繊維で、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っているため、建材(吹き付け材、保温・断熱材、スレート材など)、摩擦材(自動車のブレーキライニングやブレーキパッドなど)、シール断熱材(石綿紡織品)、ジョイント・シート(ガスケットやパッキンなど)といった様々な工業製品に使用されてきました。しかし、石綿は肺癌や中皮腫を発症する発ガン性が問題となり、現在では、原則として製造・使用等が禁止されています。
わが国で使用される石綿の大半は輸入によるもので、これまでに輸入された石綿は1000万tに達しました。主な輸入元は、カナダ(65.9%)、ブラジル(19.5%)、ジンバブエ(10.6%)となっています(平成16年・日本石綿協会調査)。昭和45年から平成2年にかけて、年間約30万tという大量の石綿が輸入されており、石綿の用途は約3000種といわれる中、大きくは石綿工業製品と建材製品に分けられ、その8割以上が建材製品です。
石綿を使った建材製品は昭和30年頃から使われ始め、ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として、1960年代の高度成長期に多く使用されました。また石綿は安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など、多様な機能を有していることから、耐火、断熱、防音の目的でも使用されてきました。

しかし、わが国では、昭和50年に石綿の吹き付け作業は原則禁止され、その後、平成7年に石綿のうち有害性の高い茶石綿(アモサイト)と青石綿(クロシドライト)の製造等が禁止となり、白石綿(クリソタイル)についても、近年代替化が進んできたことから、平成16年10月に労働安全衛生法施行令が改正され、白石綿等の石綿を含有する建材、摩擦材、接着剤の製造等が禁止となりました。さらに平成18年9月以降は、代替が困難な一定の適用除外製品等を除き、石綿および石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の製造等が禁止されました(石綿の輸入量は、平成16年では8162t、17年は110t、18年には0t)。
従って、現在では石綿含有建材、製品は製造されていないといえるのですが、完全禁止以前に製造された製品の在庫や、一定基準以下の使用可能量を含む建材等がどのくらい使用されたのかは定かではありません。例えば、昭和50年に吹き付けアスベストが原則禁止となった以降、吹き付けロックウール(ガラス繊維)に切り替わっていましたが、しばらくの間は石綿を混ぜて使用していましたし(昭和43年頃から昭和55年頃まで)、一部の工法(湿式)については昭和63年頃まで使用されていました(現在市販されているロックウールには石綿は使用されていません)。また、アスベスト成形板(石綿スレート、パルプセメント板、石綿セメントサイディング等)は、大量に広範囲で使用されていました。
これらの実態から、石綿または含有建材を使用した建築物は、未だ相当数がわが国には存在すると思われ、その売買や解体に際しての注意が叫ばれています。具体的には、宅地建物取引業者の関与する取引では、すべての建物についてその使用の有無を所有者に確認することとし、調査資料があるときはその内容を、未調査または不知の場合は、購入者に対して石綿及び含有建材等の飛散防止措置の必要性を説明すること(宅地建物取引業法施行規則第16条の4の2)で、売主の負担を免除しているのが一般的です。しかし、貴殿ご指摘のとおり、「順送りのババ掴み」は好ましいことではありませんので、古いビルの所有者は専門家による調査を行っておくことが望ましいといえます。因みに、アスベストの調査はjisA1481(平成18年3月25日制定、同20年6月20日改正)により方法が定められています。簡易な調査は信頼性に欠け、効力もありませんので注意が必要です。調査は図面調査と検体採取、定性分析(顕微鏡とエックス線)で、アスベストが含まれているとなると量を測定する定量分析を行います。一度、ご検討されては如何でしょうか。
2011.09.27
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地デジも対象??テレビ受信設備と重要事項説明義務
先日、田舎の古民家付き土地をセカンドハウス目的で購入しました。その物件は大阪の不動産会社が所有者から購入し、販売用に内外装をリフォームして「売主」としてインターネットに広告していたものです。引渡しのとき、何気に「テレビは地デジ対応?」と聞いたところ、調べますと。後日業者から「実は弊社も知らなかったのですが、この村には電波受信組合というものがあって、組合加入費が30万円、工事費が15万円ほど要るそうです」と驚きの答えが。とにかく契約のときにも一切説明されていませんし、宅建業法違反は明らかで、全額負担してもらい工事をさせるつもりですが、業者は折半してと言ってきています。どうでしょうか?
宅地建物取引業法第35条の重要な事項の説明義務については、同法に列挙、規定されている事項のみがその対象になるのではなく、その他宅地建物取引業者の相手方が取引の目的に照らし、重要な動機と考えられる事項(例えば静寂な環境が目的の場合に周辺騒音施設の調査報告など)や、事実を告げずまたは故意に告げないことによって相手方が重大な不利益を被るような事項(例えば自殺の事実や近隣に反社会的組織の拠点があるなど)という法47条規定の事項も含まれることは知られています。本件の場合、まず宅建業法35条、47条の説明義務違反に当たるかどうかを検証します。
当然、35条の列挙項目にはズバリ「テレビ受信設備の有無またはその内容」というような文字は見当たりません。また政令や省令(法35条1項14号のイに規定する命令)にも同様の記述はありません。しかし、昨今の一般的国民生活においてテレビ放送が受信できないということは許容しがたく、まして本件売主は宅建業者であって改装工事も行なっていることから明らかに売主業者の落ち度であると言えます。ただ、本件施設は建物付帯設備の一部であると考えられ、売主においてもその事実を知らずにアンテナ設備を設置すれば足るものと理解して当該物件を引き渡したものであれば、宅建業法上の違反を問えるかは疑問と考えます。では買主は泣き寝入りをしなければならないのか、他の方向から検証してみましょう。
民法、商法には売主の担保責任についての規定があります。一般的には瑕疵担保と言われ、隠れたキズの様に解釈されています。キズと言われると欠陥とか機能的不具合の様な感覚になりますが、法的には広義の瑕疵を採用し、「本来備わっているべき設備等が付帯されていないことを買主が知らなかった」場合にも適用されます。書面の都合上、結論を急ぎますが、本件においては購入不動産にテレビ受信設備が付帯されていないことが一般的住宅価値に照らして相当設備に瑕疵があるものとして売主の債務不履行を認め、賠償責任を負う、となりそうです。地デジ時代の到来に向けて、業者さんは十分な調査を!
2010.08.02
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無断駐車・罰金○万円頂きます!看板の実効性!?
京都、八坂神社近くに土地を所有しています。現在空き地で月極め駐車場(月額賃料25,000円)として利用していますが、観光に来られる地方の車がしょっちゅう不法駐車をするので、入り口のまん前に「無断駐車厳禁!発見したら罰金3万円」の大看板を掲示しました。実際に無断駐車をした車の所有者に請求したいのですが、支払わせることが出来ますか?
本件ご質問の結論から申し上げますと、我が「行列の出来る不動産無料相談所」の回答者軍団が出した答えは「支払わせることが可能」90%!
ご質問の要点を整理しますと、
  1. 地主は不法駐車を抑止するため自ら入り口に「無断駐車厳禁」の大きな看板を誰にでも確認出来るよう設置した。
  2. 地主の駐車場は月額賃料25,000円、罰金として明示した額は30,000円である。
  3. 不法駐車をした者には、この看板がよく見えていた。当然、罰金30,000円と書かれた文字、金額も認識していた。
  4. 不法駐車した者は、ここが月極め駐車場として利用されている私有地であることは認識していた。
以上の要点から、ご質問への回答をいたしますと、本件のような場合、民事上の損害賠償請求が認められる可能性はかなり高いと推察できます。一般的な不法行為を成立させるには、故意、過失の立証が必要となります(過失責任主義)が、車を止めた側にすれば、出来心(常習的に利用している場合は別)といえども、目の前に看板が視認出来、且つ罰金の文字を見れば無断駐車が無過失だとは到底認められません。さらに、一般不法行為成立には権利侵害、損害発生、またそれらの因果関係が求められ、違法性阻却事由が必要とされますが、本件はその全てにおいて地主の有利は疑いようがありません。また、罰金(正確には損害金)の金額に法外な違法性はなく、月額賃料の2倍以下なら問題なく認められる金額でしょう(もう少し請求出来そうです)。ただし、注意しなければならないことは、強制的に徴収したり、ひっ捕まえて強迫したりすると、貴方が別の不法行為または強要、暴行の罪に問われることも。法治国家としての自力救済禁止はこのような場面でも当然に効力を発揮しますので、必ず法的手段に頼らねばならないということです。しかし、その場で車の所有者が素直にお金を 差し出したら、受取っても差し支えないでしょう。おっと、領収書は切って差し上げてくださいね。(民法709条)
2010.06.30
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省エネ環境ブームに乗れるか?住宅エコポイント創設!
今年こそは「マイホーム」と思っている倹約主婦の友子と申します。去年はハイブリッド自動車や家電エコ製品が不況にも係わらず飛ぶように売れた1年でしたが、聞く所によると住宅にもエコポイント制度があるとか?どんな住宅を建てればポイント還元を受けられるのですか?住宅だから「ン百万円」とかポイントがつくのかしら?教えて下さい!
2009年来、環境政策の一環としての特定省エネ商品に対するエコポイント制度が、ハイブリッドカーや超省エネ家電製品の買い替えバブルを引き起こしました。この度、経済産業省・国土交通省・環境省の政策(三省合同事業)として、「住宅版エコポイント制度」の創設が閣議決定され、平成21年度第2次補正予算の成立を条件に、エコポイントの対象として住宅(指定部材含む)が仲間入りを果たします。詳細は未定ですが、主な内容として決定されている部分をご紹介しますので、ご参考下さい。

■エコポイントの発行対象
補正予算の成立日以降に、原則として、工事が完了し、引き渡された住宅が対象
(ただし、エコ住宅の新築については、平成21年12月8日以降に建築着工したものに限る。)
  1. エコリフォーム
    ・窓の断熱改修(内窓設置(二重サッシ化)、ガラス交換(複層ガラス化))
    ・外壁、天井又は床の断熱材の施工
    ※これらに併せて、バリアフリーリフォームを行う場合、ポイントを加算
  2. エコ住宅の新築
    ・省エネのトップランナー基準(省エネ基準+α(高効率給湯器等))相当の住宅
    ・木造住宅(省エネ基準を満たすものに限る)

■エコポイントの交換対象
○家電エコポイントの交換対象商品等
・商品券・プリペイドカード(環境寄付を行うなど環境配慮型のもの、公共交通機関利用カード)
・地域振興に資するもの(地域商品券、地域産品)
・省エネ・環境配慮に優れた商品など
※家電エコポイントに比べ、発行されるポイント数も大きくなることから、交換対象を多様化する予定
(平成21年12月8日「明日の安心と成長のための緊急経済対策」より)
2009.12.22
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「ウチの真上にアンテナが!…マンション生活も楽じゃない」
居住しているマンション屋上に携帯電話基地局設置の案が出ています。最上階フロアは全室反対を表明していますが、マンションの理事会は設置の方向で話を進めています。当マンションは600軒(全棟は7棟)ほどあり、なかなか反対票をとるのが難しいと考えております。理事はマンションの資産価値が上がると言っていますが(賃料が月20万円入ってくる予定)本当でしょうか。そもそも当マンションは分譲であり区分所有者が反対しているにも係わらず建設できるのですか。回答とともにアドバイスがあればお願いいたします。
一棟の建物を共有する所有権の形態を採る区分所有マンションにおいては、個々人の好き勝手に共有財産を処分、変更出来ないよう、一定のルールを定め、その正当な利益を法律が保護しています。これが「管理組合規約規則」であり、「建物の区分所有に関する法律」なのです。
まず、大前提として、今回の携帯電話基地局設置の行為が区分所有法に定めるところ(処分・変更・管理)のどの部分に該当しているかですが、携帯電話用電波受信アンテナを貴殿が居住されている号棟の屋上部分に設置するということから、共用部分の変更にあたると考えられ、区分所有法には次の規定が示されています。

第17条 共用部分の変更
「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」
従って最上階全室のみの反対だけでは600所帯の管理組合員の4分の3に対抗することは出来ないでしょうから、総会議決の際には、単純に151議決権を反対票として集めなければならなくなります(但し書適用の規約があれば、76議決権)。このような特別決議を要する案件は、反対意見を管理組合理事会において充分議論し、全体アンケートや個別意見を参考にしながら進めて行かなければ、後に住民同士にしこりを残すことにもなります。また、資産価値は、組合収入が年間240万円増額し、当該マンションの財産が裕福になるという部分では一理ありますが、設置したアンテナの維持管理費用やデメリットも資料を開示させて検討することは必須です。

そのうえで、秘策を一つ。
17条2項 専有部分の所有者の承諾
「前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」
この定めを援用し、もし、アンテナ設置による重大な影響を貴殿ら上階占有者が少なからず受けるとするなら(例えば、電波障害や電波による健康被害、外観を損なうことによる資産価値の下落など)、関係する当事者の承諾を得なければ決議無効となることをもって、理事会に諮ることができます。充分に納得して結論を導き出してください。
2008.6.19
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固定資産税等精算金に消費税って不当利得!?
不動産業者所有の中古マンションを購入し、残代金の精算時に色々な諸経費を支払いましたが、その中で固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金の精算金に消費税が付加されていました。税金に消費税が掛るはずは無く、管理会社に確認すると、管理費等は非課税扱いと言われました。これは不動産業者の不当利得ではないのでしょうか?
固定資産税や都市計画税の納税義務者は、その年の1月1日現在の所有者です。年の途中で所有者が変わっても、その年の納税義務者が変更されることはありません。
従って、取引で行われている「固定資産税等精算」は、税金の精算をしているのではなく、売主・買主間で取り決めた、各々の負担すべき金額(固定資産税等相当額)を売買代金の一部としてやり取りしているのであって、税法では取得価格に含まれると解釈されています。
つまり固定資産税等の精算は、売買契約上の約定として売主・買主間で履行する義務が生じるのであって、精算される金銭は「固定資産税、都市計画税」そのものではなく「固定資産税等相当額」という物件価格の一部ということになります。
ただし、消費税は建物の売買には課税されますが、土地の売買は非課税となっていますので、精算金のうち建物部分相当額が本件の対象となります。

また、商売をしている個人や会社(以下「事業者」といいます)で、基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合、その事業者は消費税の課税事業者となりますので、売主が不動産業者だからということではなく、課税事業者であるか否かが消費税の転嫁に関わってきます。従って、管理費等も、その清算を売主事業者との間で行うのであれば、当該マンションの価格の一部となりますので、消費税を転嫁しても不当利得とは言えないことになります。

なお、一般的に分譲マンションの管理組合が管理費に消費税を転嫁していないのは、管理組合会計が公益法人に準じて行われ、管理費や修繕積立金の徴収が課税対象事業とされないことや、管理組合そのものが収益事業を行うことがなく、課税事業者になっていない等の理由からです。しかし、法人、非法人組合の別には関係なく、管理組合は消費税法上の課税対象事業者ですから、管理組合の課税売上高(例えば施設や備品の売却等)が1000万円を超えた時は課税事業者となり、管理費(積立金は除く)に対して消費税を転嫁することも違法なことではありません。逆に管理費等に消費税を転嫁して徴収すれば、当然に課税対象収益として会計処理をすることになります。
2008.3.6
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車庫証明の手続きについて
駐車場を借りているのですが、賃貸業者に車庫証明の書類の証明をお願いしたら5,000円請求されました。書類が届き見てみると会社の印鑑が押してあるだけでした。それだけで5,000円というのは高いと思いますがそれは正当な金額なんでしょうか?
まず、車庫証明に必要な書類(正しくは車両保管場所使用承諾書と言います)の発行費用ですが、この件に関してのトラブルは物事の基本的な本質を関係者(地主、借主、不動産業者)が理解していないことから起こっています。
そもそも、この書類(上記承諾書)は駐車場の賃貸人(地主)が賃借人に対し、賃貸物を使用収益させるために必要(車庫証明書がなければ車が購入できない=駐車場を利用する意味がない)なものとして、発行する義務を負うものです。従って、承諾書そのものが有料であるというのは根拠に欠けるところです。ですから、この費用は単に承諾書を発行する手間賃的な事務手数料だということを知った上で、5,000円が高いか安いかの判断をしなければなりません。但し、紙切れにハンコという量的な基準ではなく、ご自分が地主サンからこの承諾書を直接頂くとした場合の手間、時間、労力を基準に判断されることが必要です。なお、駐車場を管理する事業者も、上記承諾書を発行する際に何がしかの費用を請求する場合、かかる費用の根拠を説明できなければ支払いを拒まれることもありそうです。しっかりとお勉強を!
2005.9.15
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隣地の柿の木について
私は尼崎市で駐車場を管理していますが、その駐車場の隣地の柿の木が敷地内に枝を張っており、秋にもなると熟した柿が契約者の車両に落ちて苦情を言われます。また、すずめやカラスの糞害も年中あります。管理者として境界線に沿って枝を切りたいのですが勝手に切ってはだめでしょうか。
宅地建物取引主任者の試験勉強をしたころを思い出します。民法233条「竹林の剪除・截取(せっしゅ)権」を覚える際に、講師から「竹の子食っても柿食うな」なんて教えてもらいませんでしたか。ご相談の内容は同法233条の規定にあてはめて判断すれば、貴殿が柿の木の枝を剪定することは出来ず、柿の木の所有者に枝を切らせることが出来るという権利の主張をするにとどまります。特に後々の近隣関係の悪化を考え、隣地所有者に掛け合ってください。しかし、隣地が空き地で所有者が行方不明もしくは枝を切らないと言ってきた場合はどうでしょう。民法 233条は任意規定であり、規定と異なる慣習等があればそれに従うとされています。地域の慣習として自治会等が定期的に空き地の除草や不法投棄ゴミ等の除去作業を行っているなどの事実があれば、良好な環境を維持するために必要な範囲で当該枝の剪定も許されると考えます。法律は物権(この場合は所有権)の円満な実現に対する妨害を除去・予防するための請求権を認めています(民法197条以下)。緊急避難的措置として枝を切る(民法720条2項)という考えも無くはありませんが、法は自力救済を認めず、占有訴権の存在意義からもそれぞれの手続きを踏まねば、思わぬしっぺ返しを食らうかも知れませんので注意が必要ですね。
2005.6.15
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境界線について
ある業者が隣に家を建築しています。建築前から『境界が違う』とかうちとの境に建っている塀を『ここまで壊しても支障は無いだろう』という威圧的な態度でした。建築物についても、『お宅のベランダとうちのベランダはかぶりません』と言っておきながら、同じ位置にあり、離れていません。建築が始まってからも、建築物にカバーをかけず、こちらのベランダや車、敷地には木屑や釘、ゴミ等様々な物が入ってきました。苦情を言うと『我慢するのが当然』という態度でした。また、カバ−をかけていないため、離れていないあちらのベランダからは工事の方が通るたび、生活を覗かれているようで、心理的負担があるのも事実です。また、うちの敷地にかかって工事の車が止まっていて、車が出せないことを言うと『どっちに出るんだ』くらいな威圧的な態度を取られ、すぐに車も出せません。私たちのような素人は何も取るべき対策は無いのでしょうか?
貴殿のお気持ち、お察しいたします。とかく最近の世の中は、建築工事に限らずあらゆるところで身勝手な行為言動が横行している気がしますね。ピカチュウは人気者でも、自己中は許せません! 本件ご質問の現場に回答者が立ち会っていたわけではありませんが、貴殿に限らず建築現場でよく耳にする苦情です。この際、当該建築工事の差し止めを求めて法的手段に訴えたいところですが、よく聞く工事差し止めの仮処分とは、現に係争中の権利を保全するため(民事保全法23条1項)、或いは権利関係の争いがあることによって、債権者に生じる不安や危険を除去するために仮の地位を定め、債権者を保護する目的で認められるもの(同23条2項)の2通りしかありません。従って本件の場合は、近接するベランダに民法 235条(観望施設の制限)違反が認められ、業者が目隠し板を設置しないなど、貴殿の権利を保護する必要性がある場合以外は、この請求は認められないことになります。しかし民法709条は「不法行為」として当該建築工事によって貴殿が受けた受任しがたい迷惑を、損害賠償という形で救済できるとしています。 当然、業者は故意ではないと反論するでしょうが、不法行為は故意・過失を問いませんから、相手方が充分な注意義務を怠り、通常予見し得る損害を与えた事実があれば不法行為責任を負うとされます(大判・大5・12・22民録22.2474)尚、当協会は宅地建物の取引に関与する事業者の団体ですから、本件建築行為の内容については管轄外であることをご理解ください。
2005.2.15
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『業として行う』について
宅地建物取引業法にある業として行うというのは、不特定多数の人に反復継続して行うこととありますが、イマイチ要領を得ません。何かの本の例には、社員に売る場合は業にならないとかありますが、社員も入社したり、やめたりして人数も変わり結局不特定多数にならないのですか?これが特定しているというのなら、○市の住民登録をしている住民にしか売らないというのも特定していることになるのではと思います。反復継続というのも個人が50部屋のマンションを仲介業者を通して売る場合に、この一棟のみで後はやらないというなら反復継続していないので業にならないのではないでしょうか。
まず、宅地建物取引業法2条2号には宅地建物取引業の定義がされてますが、「業として行う」とはありますが、その解釈を「不特定多数の人に反復継続して行うこと」などとは説明しておりません。確かに一般論として「業として行うこと」の定義の一つではありますが、そのこと=業としてにはならないと考えます。平成13年1月6日国土交通省総動発第3号1の(1)に、「業として行う」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることが出来る程度に行う状態を指すものであり……諸要因を勘案して総合的に判断する、という考え方を示しています。
従ってご質問中の企業の従業員に対する分譲も、従業員が不特定多数の相手方に当たるか否かという議論はさほど重要ではなく、あくまでも企業の行為に事業性(一定の利益を目的とし、転売の為に物件を取得するなど)が高いかどうかを判断の基準とすべきであると考えます。なお、不特定多数の解釈としては、当事者間に特定の関係が認められないものとしていますので、雇用関係は明かに当事者間における特定の関係が存在するものであり、その定義からは除外されます。それから考えてみますと、ある都市の住民登録をしている者のみを対象とする分譲については、企業側が企画する販売戦略の問題であり、企業と住民の間に特定の関係は認められず、雇用関係とは逆に不特定多数の対象といえます。また、「反復継続」の解釈ですが、50室を個別に販売することは、売買行為そのものを50回反復することであり、たとえ、当該事業1回のケースといえども前述した不特定多数を対象とし、事業性を帯びている限り、業として行うことに当たり、議論の余地は無いと考えます。
2004.8.15
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印紙について
平成15年に新築一戸建てを購入したので確定申告に行ってきました。しかし提出願書類の「売買契約書の写し」で印紙が貼っていないのでその日は提出できませんでした。印紙の貼ってない売買契約書でも有効なのでしょうか。また印紙は自分で用意しなければならないのでしょうか。支払手数料に売買に関する費用はすべて含まれると思っていました。また素人としてはいくらの印紙を貼るのか分からないし、契約時なら15、000円(税務署でこれくらいと言われた)も大きな額ではありませんが、今では大きな額です。
西暦645年(大化元年)中大兄皇子や中臣鎌足らが中心となって、中央集権国家を建設するため行った政治改革(大化の改新)の基本構想の中に、租・庸・調と呼ばれる税制を定めて以来21世紀の現代まで、国家を維持するために課せられた「納税の義務」を私達国民は常に負っています。と、言うと何か懐かしい歴史の授業を思い出しますね。さて、現代の税制には多様な制度が存在しますが、流通税(財の移転に着目して課税する税)と位置付けられる税金の税目の中に、この印紙税があります。印紙税は通常、収入印紙を貼付して納税するのですが、貴殿の法律行為(不動産の売買)にも複数の種類の課税対象行為が存在しています。(売買契約・登記・不動産取得・不動産保有など)また、これらの税は納税義務者と担税者が同一である直接税といわれる税金で、貴殿が購入した住宅に課せられた消費税は、納税義務者が事業主である間接税といいます。したがって、消費税は価格や仲介手数料に含まれますが、貴殿ご質問の印紙税は仲介手数料や価格に含まれるものではないことは勿論、貴殿(買主)だけでなく売主にも当然課せられている税なのです。仲介不動産会社の受け取る手数料は、仲介会社の労役に対して支払う報酬ですから、印紙は納税義務者の貴殿が用意して貼付することになります。ご理解ください。なお、印紙不貼付と法律行為の有効無効には法的な関係はありませんので、当該売買契約は有効に成立します。

難しい言葉になりますが、課税要件(租税構成要件)が充足(本件の場合は貴殿の不動産売買行為)された貴殿に、租税債務が発生し、納税義務が課せられます。(国税通則法、国税徴収法、印紙税法など参照)。

なお、印紙不貼付や不消印には、故意過失を問わず過怠税(現行納税額の三倍)が課せられますので、くれぐれもご用心を。
2004.4.15
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